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第7章 第35話

久しぶりに風邪を引いてしまった俺。 優しい皆のおかげですっかり元気になった。 でも、今度は俺と一緒にいてくれた誠史(せいじ)さんが熱を出してしまった。 俺の風邪がうつったのかも知れないし、2人でセックスした後、裸のまま寝落ちしたから風邪を引いてしまったのかも知れない。 とにかく原因は俺。 どうしようもないけど、どうしよう…。 申し訳ないのと、誠史さんが心配で居ても立っても居られない。 麻斗(あさと)さんがこの前作ってくれた卵雑炊のレシピを教えてもらって作ってみた。 美味しかったし、これが保科(ほしな)家の味なら誠史さんが喜んでくれると思ったから。 出来立ての卵雑炊を持っていくと、誠史さんは着替えの真っ最中だった。 「誠史さん、俺が手伝うのに…」 卵雑炊を置いて、誠史さんに近寄った。 熱のせいか、昨日頑張りすぎたせいか体を動かすのも辛そう。 誠史さんの体を支えながら、汗ばんだ体を拭いてパジャマのボタンをとめた。 「ごめんね、誠史さん。俺がワガママ言ったから…」 「環生(たまき)が責任を感じる必要はない。気にしなくていい」 「でも…」 俺の様子を見ていた誠史さんは、『大丈夫だ。ほら元気だろう?』と、優しく抱き寄せておでこにキスをしてくれた。 唇や体から伝わってくるいつもより熱い誠史さんの体。 こんな時に不謹慎だって思うのに、昨日の夜の温もりを思い出してしまう。 誠史さんは俺が求めるまま、心を込めて大切に抱いてくれた。 体調を気にしてくれてる事も、終盤はちょっと無理をさせてる事もわかってたけど、約2か月ぶりの誠史さんが欲しくて我慢できなかった。 こんな事になってしまって、しっかり反省はしたけど後悔はしていない。 だって…抱かれて嬉しかったから。 「誠史さん…。俺ね、昨日すごく気持ちよくて、嬉しくて幸せだったよ」 「…そうか。俺も幸せな時間を過ごせたし、何より環生が満たされたなら頑張った甲斐があるなぁ」 誠史さんも幸せだったなら嬉しい。 俺の気持ちと一緒。 「ありがとう、誠史さん。俺ね…今も昨日と同じくらい幸せ」 「何かいい事でもあったのかい?」 「うん…。だって治るまで誠史さんがずっと日本にいてくれるから」 忙しい誠史さんはなかなかまとめて日本にいられない。 本当だったら今日か明日のうちに帰る予定だったはず。 でも、元気になるまではずっとこの家にいてくれる。 それが嬉しい。 甘えるようにくっつくと、ぎゅうっと抱きしめられて頭を撫でられた。 「環生は健気で可愛いなぁ。一緒にロンドンに来るかい?」 「ふふっ、俺がロンドンに行ったらこの家の家事をする人がいなくなっちゃうよ」 「…それもそうだな。環生が息子たちの側にいてくれるから、俺も安心して仕事ができる」 誠史さんに存在意義や働きぶりを認めてもらえるのが嬉しい。 もっともっと頑張ろう。 「あ、そうだ。俺ね、卵雑炊作ってきたよ」 「そうか、すまないな。少しもらおうか」 誠史さんのために作った卵雑炊。 気に入ってくれるといいな…。 「あぁ、懐かしいな。いい味だ」 目を細めながら次々にれんげを口に運んでくれる。 もうそれだけで浮かれ気分。 「誠史さん。俺、一生懸命看病するね。用があったら何でも言いつけてね。気持ちいい事がしたくなったら俺、騎乗位でご奉仕するからね」 「あ、あぁ。お手柔らかに頼むよ」 誠史さんは俺の気合いにちょっと驚いた様子。 俺は昨日の夜のお礼の分も何かの形でお返ししたくて、いつになくやる気に満ちあふれていた。

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