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第8章 第20話(※)side.柊吾

〜side.柊吾(しゅうご)〜 「早く帰って来て欲しいのか?」 「うん…。今まで朝から晩までずっと柊吾と一緒だったから、離れてると淋しくて…」 切ない表情を浮かべて腕の中におさまる環生(たまき)。 最近ストレッチを始めたのも、こった料理を作るようになったのも、部屋がいつも以上にキレイなのも、俺がいなくて時間ができたからだとばかり思っていた。 「…もしかして料理を頑張ってるのも俺のためか」 「…うん…。本当は内緒にしておくつもりだったんだけど…。美味しい料理と気持ちいいセックスで柊吾のお腹も性欲も満たす事ができたら、家に帰るのが楽しみになるかな…と思って」 何だよ、それ…。 そこまで頑張らなくても『早く帰ってきてかまって』って言うだけでよかったんだ。 俺は環生にワガママを言われるのが好きだ。 それに、気をつかわずワガママを言うために『お願い事何でも一つ叶える券』を年間パスポートにしたんだろ…。 控えめでいじらしい環生を思うと、涙が込み上げてきた。 俺は環生の料理も体も、環生との時間も気に入っている。 今日だって早く環生に会いたくて、誘われたカラオケも断って真っ直ぐ帰ってきたぐらいだ。 「ありがとな、環生。でも無理しなくていいからな。絶対帰ってくるから」 「うん、嬉しい…。でも、俺も柊吾に無理して欲しくないよ。友達との付き合いも大切にして欲しいから…。それなのにごめんね、重いよね…」 話しながら涙ぐむから、強めに抱きしめた。 少しでも俺の気持ちが伝わればいいと思った。 「全然重くないぞ。俺の方こそ淋しい思いも、我慢もさせてごめんな。もっとちゃんと言葉にして出かければよかったな」 「ううん、いいの…。柊吾のその言葉だけで充分」 ありがとう…と、幸せそうに微笑む環生は最高に可愛かった。 「続きして…。柊吾をいっぱい感じたい…」 そこからはもう夢中だった。 離れる時がないくらい、貪るようなキスをした。 いつもの優しい愛撫も、甘い言葉もない、欲をぶつけ合うような交わり。 正常位でぎゅっと抱き合って体を繋げた。 ストレッチの効果でいつもより開脚できている気がするから、体の密着度も高い。 涙を浮かべて悦ぶ環生の最奥を抉るように腰を振り続けた。 柔らかくなった脚をわざと大きく広げて松葉崩しもした。 体をぶつけるようにズブズブ突きながら、色づいた胸の先をいじって張ち切れそうな環生自身を扱いてやると、淫らな可愛い声で嬉しそうに喘いだ。 1回では到底足りなかった。 俺は3回、環生は前でも後ろでも数えきれないくらいイッて、2人でベッドに寝転んだ。 「なぁ、環生…」 「ん…なぁに?」 リラックスしてぼんやりしている分、いつもより甘えた声だし、瞳もとろんとしている。 「明日…一緒に大学行くか?」 「えっ…?」 「図書館やラウンジは一般開放されてる。俺がどこで何してるか、実際に目で見た方が安心するだろ」 指先に環生の柔らかな髪を巻きつけたり、すいたりして感触を楽しみながら声をかけた。 「柊吾は俺に大学を見せたい?」 「俺は別に…」 「…それならやめておく。見たらますますリアルに想像しちゃうから。それに…離れてた方が柊吾のありがたみがわかるし。俺はこの家で柊吾の帰りを待ってるよ」 ありがとう…と俺の頬に唇を寄せる。 『行く行く、行ってみたい』って瞳をキラキラさせると思っていたから、ちょっと期待外れだった。 「…気が向いたら、いきなり来てもいいぞ」 「柊吾…本当は見せたいの?」 「ん…どっちかと言えば環生を見せびらかしたい」 「やだやだ、そんなの。皆の前でキスとかするつもりでしょ。絶対行かない」 恥ずかしい…と、布団に潜り込んでしまった。 そんな風に言っていても、きっと環生は大学に来るだろう。 もともと好奇心旺盛だし、もう少し経って淋しくなったら絶対に来る。 もし来たら校舎の最上階にあるラウンジで季節限定のフルーツパフェを食べさせてやるんだ。 それから中庭の花壇のあたりを散歩して、図書館の人目につかない俺のお気に入りの席へ連れて行って、こっそりキスしてやるんだ。 そんな事を想像しながら、俺も布団に潜り込んだ。

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