221 / 420
第8章 第22話
「今回は自信作だ」
「そうなの?楽しみ」
秀臣 さんは俺が泊まりに行く度に、手作りのパジャマや下着を用意してくれる。
俺にそれを着せてリアル着せ替え人形をして遊ぶ。
そうしているうちに目覚めてしまったようで、最近は仕事でもちょっとエッチな男性用の下着をデザインするようになった。
「どう…かな、秀臣さん。賢哉 さん」
俺がはいたのは、爽やかなミントグリーンのボクサーブリーフ。
体にフィットして、はいてないみたいに軽い。
ちょうど性器の先端が当たりそうな部分に、ゴールドのラメで小さなリボンがプリントされている。
何だかプレゼントみたいに見えて、ちょっと恥ずかしい。
浅ばきタイプだから屈んだらお尻の山が見えてしまいそう。
「うん、いいな。イメージ通りだ」
「環生 、よく似合っているよ」
秀臣さんに呼ばれて、ものの数分でやってきた賢哉さんも誉めてくれる。
賢哉さんは先週からお隣りに住むようになった。
お隣りのファミリーが引っ越して、売りに出た家を秀臣さんが買ったから。
だから電話一つですぐに賢哉さんがやってくる。
秀臣さんは仕事上都合がいいからな…って言ってたけど、きっと照れ隠し。
だって2人はお互いの事が大好きだから。
アトリエが手狭になったって言うのは建前で、本音は賢哉さんに側にいて欲しかったんだと思う。
部屋の大半は秀臣さんの資料や試作品や資材の倉庫になってしまったけど、賢哉さんは秀臣さんの要素に囲まれて嬉しそう。
あの家は幸せいっぱいの2人の愛の巣。
「あ、ありがとう…」
秀臣さんのパンツは、さじ加減が絶妙。
清楚な色やデザインなのに、どことなくエッチ。
最初からめちゃくちゃエッチで見る人が嬉しい鑑賞用パンツじゃなくて、はいた人がちょっとドキドキできて、嬉しい気持ちになれるエッチなパンツ。
はく人の気持ちを最優先に考えた優しいパンツ。
見た目は普通のパンツだけど、ホックを外すと中はレース素材のTバックになってるとか、見えそうで見えない程度の透けてる素材とか、はいたままセックスできるようにスリットが入ってるとか…そういった工夫がたくさん。
エッチな下着に興味はあるけど、恥ずかしくてお店では買えない人や、いきなりエッチな下着で好きな人の前に出るのは緊張してしまう人にもオススメのパンツ。
もちろん肌触りやはき心地にもこだわってるから、長時間はいていても快適。
普段のパンツのようにはいていて、デート中にいい雰囲気になった時に、そのまま好きな人にエッチな姿も見せられちゃう優れモノ。
俺はモニターを兼ねた秀臣さん限定の下着モデル。
試作品や新作ができると、それを試着したり、感想を伝えたり。
下着を身につけたままエッチな事がしやすいか、実際に賢哉さんとセックスしてるみたいな体勢になる事もある。
完成品ができると、実際に秀臣さんに抱かれて最終チェックをする事もある。
制作の力になれるのも、2人とドキドキしちゃうような事ができるのも嬉しくて、俺は密かに新作の完成を心待ちにしてる。
エッチな下着は、数量限定のネットショップ限定販売。
軌道に乗るまでは賢哉さんが一括管理をしてるから、時々ネットショップで販売してる下着の梱包や発送のお手伝いもする。
秀臣さんも賢哉さんも俺の手伝いをありがたがってくれるけど、ありがとうを言いたいのは俺の方。
きっと柊吾 が大学へ行っている間、俺の淋しさを紛らわせるために誘ってくれたんだと思うから。
麻斗 さんも前よりリビングにいる率が高くなって、俺の話し相手をしてくれるようになった。
お昼ご飯を一緒に作る事もあるし、日用品の買い出しを手伝ってくれる事もある。
皆、俺が淋しい思いをしなくて済むように気を配ってくれるし、柊吾も帰ってくるといつも以上に側にいてくれる。
俺はたくさんの温かさと優しさに包まれてる今の生活もすごく気に入っていた。
ともだちにシェアしよう!