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第9章 第10話

秀臣(ひでおみ)さんが公開プロポーズをした。 まさかそんな流れになると思ってなかったから皆ビックリ。 嬉しそうな2人を見て、もっともっと幸せになって欲しいって思った。 俺も素敵な彼氏が欲しくなった。 晩ご飯は和食を中心にあれこれ作った。 野菜の天ぷらに卵焼き、厚揚げのみぞれあんかけ、ほうれん草のお浸し、海藻サラダにお味噌汁。 誠史(せいじ)さんに手料理を食べて欲しかったし、2人のおめでたい日だから何か思い出に残るご飯を作りたかったし、旅行で留守にするから食材も使い切りたかったから結構頑張った。 『どんどん腕を上げるなぁ』と、日本酒を飲んでほろ酔いの誠史さんがいっぱい誉めてくれた。 夜はいつものように俺の和室で眠る誠史さん。 おしゃべりをしながら、明日の荷作りをする。 「誠史さん、よかったね。息子が増えるね」 「そうだなぁ。家族が増えるのは嬉しい事だよ」 誠史さんの嬉しそうな声。 もう準備を終えてしまった誠史さんは布団に横になりながら俺を待っている。 「環生(たまき)も俺の息子になるかい?」 「ならないよ…。息子になったら誠史さんとエッチな事できなくなるもん」 「ははは、そうだな。息子にあんな土産を買ってきたと知れたら麻斗(あさと)に叱られる」 そうだ、誠史さんのお土産。 皆の前で俺にだけ買ってきてくれたお土産袋を開ける訳にはいかなかったから、夜のお楽しみにしてたんだ。 布団の上に移動して袋を開けてみた。 中にはオシャレなパッケージのローションがたくさん。 ボディクリームやルームフレグランスもある。 だからあんなに重かったんだ…。 ローションの瓶にはバラやベルガモット、オレンジ、バニラって書いてある。 香り付きのローション、面白そう。 それにしても、かなりの量。 今回の滞在中に全部使う気なのかな…。 誠史さんのエッチ…。 「そんな目で俺を見ないでくれないか。これは環生の蕾を潤すのにも使えるが、普段の手入れにも使えるそうだ」 そうなんだ…。 これを使ったら、誠史さんも喜んでくれるもちもち&すべすべ肌になれるのかな。 でもエッチな事をする時に使ったローションを普段使いしたら、その度に誠史さんを思い出してドキドキしちゃうんじゃ…。 お手入れ中にムラムラしちゃったらどうしよう。 …もしかして、離れてる時も俺が誠史さんの事を考えるように? あんまり連絡をしなかった俺の気を引くため…? 澄ました顔してるけど、本当は俺が離れていくのが淋しいのかな…。 「ありがとう、誠史さん。毎日誠史さんの事を思い浮かべながら使うね。また今度帰ってきてくれた時にすべすべになった俺の肌…触ってね」 「あぁ。だが俺は今も触りたいなぁ」 そう言って俺の腰をエッチな手つきで撫でてくる。 温もりを感じてすぐに反応してしまう俺の体。 「いいよ。今も…いっぱい触って…」 「あぁ、たくさん触れよう。今日は防水シーツも買ってきたんだ。これがあれば布団を汚す心配もなく存分に愛し合えるだろう?」 防水シーツまで買ってきてくれたんだ…。 確かにこのシーツがあるなら安心して抱いてもらえる。 ホテルや旅館でエッチな事をすると、借り物だから汚してしまわないか気になって、どこか落ち着かなかったから…。 「環生にはリラックスして俺に抱かれて欲しいからなぁ」 誠史さんは早速防水シーツを敷き始めたから俺も手伝う。 あれもこれも準備万端すぎて笑えてしまう。 「誠史さん、俺とセックスするために帰ってきたの」 「もちろんだ。離れていて一番辛いのは、こうやって環生の温もりを感じられない事だからね」 さぁ、おいで…と膝の上に促されるから、対面座位みたいに膝に乗って体を寄せる。 「可愛い環生。離れていた分のキスをしようか」 誠史さんは俺を見つめながら、そっと頬に触れてくれた。

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