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第9章 第11話(※)

「うん、いっぱいして…」 温かな手に頬ずりすると、そっと重なる唇。 あぁ、誠史(せいじ)さんのキスだ…。 今は2人きり。 もう我慢しなくてもいいんだ…。 甘えたいスイッチが入ってしまった俺は、急に誠史さんが恋しくなった。 続きをねだってぎゅうっと抱きつく。 「俺からもしたい…」 自分から口づけて、舌を絡めて…ゆっくり背中やお腹に触れる。 どさくさ紛れに誠史さんのパジャマの中に手を入れて、生の肌の感触を楽しむ。 「積極的な環生(たまき)も可愛いなぁ」 満足そうな誠史さんはパジャマを脱いで触らせてくれた。 いつも俺を温めてくれる広い胸。 いつも俺を抱きしめてくれる優しい腕。 「誠史さん…」 「どうした、泣かなくてもいいだろう」 「だって…嬉しくて…」 泣くつもりなんてなかったのに、また誠史さんと触れ合えた事が嬉しくて…気づいたら涙ぐんでいた。 離れていた時間を埋めるように、気持ちを伝えるように…程よく年齢を重ねた愛おしい肌に触れる。 瑞々しさや張りのないちょっとゆるっとした肌の感じも大好き。 体をまさぐると、誠史さんが微笑んでくれる。 その余裕のある感じが、ちょっと淋しい。 もっと俺に夢中になって欲しい。 理性をなくしちゃうくらい俺に溺れて欲しい。 誠史さんにも触って欲しくて自分でパジャマを脱いで誘ってみた。 「相変わらずキレイな体だ。今でもいい手触りなのに、ローションを塗ったらもったいないな」 「俺…塗って欲しい…。誠史さんの手で体の隅々まで…。それに…俺も誠史さんに塗ってあげたい」 「そうか。それなら2人で楽しもう」 俺はバニラ、誠史さんはオレンジ。 キスをしたり、香りや感触を楽しんだりしながら、仲良くお互いの体に塗り合った。 「いい香り。ヌルヌルも気持ちいい」 ぎゅっと抱きしめ合うとバニラの甘さとオレンジの爽やかな香りがふわりと混じった。 誠史さんのオジサマ臭が嗅げないのは残念だけど、これはこれでいい感じ。 抱き合ったり、触れ合ったりしていてもヌルヌルだから、体が滑っていってしまうのも面白い。 離れないようにくっついても、ちょっと動くだけでツルッと滑って離れてしまう。 「楽しいね、誠史さん」 「あぁ、無邪気な環生を見られて楽しいよ」 微笑み合ってどちらからともなく唇を重ねる。 またお互いの体に触れる。 手のひら全体で胸を愛撫されると不思議な感じ。 ローションのとろみで、指が引っかからない分、刺激がダイレクトに伝わってくる。 「はぁ…気持ちいい…」 もっともっと体の隅々まで撫で回して欲しい。 誠史さんの体の隅々を撫で回したい。 腰を揺らすと、お互いの性器が擦れ合う。 こうやって兜合わせしてるだけでイキたくなっちゃう。 「誠史さん、横になって。やってみたい事があるの」 そのまま誠史さんに体重をかけて、仰向けに寝そべってもらった。 ローションが絡んでテラテラと光る勃起した誠史さん自身に視線を移す。 欲情したそれは美味しそうで今すぐ咥えてしゃぶり尽くしたい衝動に駆られた。 でも、今日は胸でしてあげたい。 誠史さんの脚の間に座ってヌルヌルの胸を押しつける。 滑っていかないように太ももにつかまって、ゆっくり誠史さんの性器を扱いてみた。 いつもなら恥ずかしくてできないけど、ローションの感触が楽しくて、つい大胆な事もしてみたくなる。 「誠史さん、気持ちいい?」 「あぁ、環生の肌は気持ちよくて最高だなぁ」 俺で喜んでくれるなんて嬉しい。 もっと誠史さん自身を刺激したくて体を前後に動かすと、胸の先が擦れて俺まで気持ちいい。 誠史さんにしてあげたいのに、俺が誠史さんの体でオナニーしてるみたい。 そう思うのに、淫らな俺は体の動きを止められない。 息もだんだん荒くなるし、蕾が疼いて仕方ない。 きっと物欲しそうにヒクついてるはず。 「はぁん…気持ちよくて…止まらない…」 「よし、今度は俺が環生を気持ちよくしよう」 チュッチュ…とキスをしながら体勢を入れ替える。 覆いかぶさる誠史さんの重みと温もりが心地いい。 「ハァハァ言いながら尽くしてくれる環生は可愛くて色っぽくてたまらないなぁ」 興奮するよ…と、俺の耳元で囁いた誠史さんは、大きな手で俺の体を撫で回す。 「もっと気持ちいい事をしてあげよう」 俺のとろけた顔を見て微笑んだ誠史さんは体を起こした。 自分で自分自身を扱きながら、じっと俺を見る。 誠史さんのセクシーなオナニー姿に目とお尻が幸せ。 エッチすぎて蕾がキュンキュンする。 硬くて大きなそれで何をしてくれるんだろう…。 挿れてくれるのかな…。 甘い期待であちこち疼く俺の体。 誠史さんは俺の上半身にまたがると、硬くなった先端で胸の先を擦り始めた。 「あっ、ぁ…あぁん…」 赤黒くてピンと張った誠史さんのカリが、俺の敏感な胸をつっついたり、円を描くようにクルクル撫でたり。 恥ずかしくてエッチな光景から目が離せない。 気持ちいい事をされてるって視覚でも認識するから、さらに気持ちいい。 甘いローションの香りも、水音も…あれもこれも快感を増幅させる要素が重なってクラクラする。 「気持ちいいかい、環生」 「うん…気持ちいい…」 誠史さんはもう片方の胸を指先で引っかいたり、胸全体を撫でたり。 バラバラの動きで左右の胸を愛される。 ローションに感度が上がる成分でも入ってるんじゃないかと思うくらい、どんどん高まっていく。 「はぁん、誠史さん…。胸だけでイッちゃいそう」 「いいとも」 誠史さんは嬉しそうに微笑むと、そのまま愛撫を続けてくれる。 絶妙な力加減とリズムで与えられる快楽に誘われて、体の奥の方から何かが駆け上がってくる。 「ぁ…誠史さん…」 思わずぎゅっと誠史さんの腕をつかんでしまう。 このまま胸だけで達してしまいたいけど、キスもして欲しい。 でも、この体勢じゃ届かない…。 瞳で訴えると、誠史さんは体勢を変えてきつく抱きしめてくれた。 濃厚で深いキスと、胸に触れる指の感触。 そう、俺が欲しかったのはこの温もり。 すぐ側で感じる誠史さんのにおい。 もう、だめ…イッちゃう…! 「んっ、んんっ…!」 俺は必死に誠史さんにしがみつきながら、絶頂を迎えた…。

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