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第9章 第13話

誠史(せいじ)さんとのヌルヌル&イチャイチャな夜を満喫した次の日の事。 俺たち6人は誠史さんが予約してくれた貸し別荘にやってきた。 広くてオシャレな古民家風のお家。 家具は和モダンで統一されてるし、照明も雰囲気があって温泉旅館みたいな感じ。 入ると木のいい香りがした。 海が見える露天風呂も、大きな庭もある。 部屋もたくさんあるのに、誠史さんは俺と一緒の部屋がいいって言ってくれた。 いつも離れてる分、一緒にいられる時は俺を独り占めしたいんだって。 昨日あんなに独り占めしたのに。 そんな誠史さんが選んだのはキングサイズのベッドが一台ある和室。 エッチな事する気満々な部屋チョイスだから、何だか恥ずかしい。 秀臣(ひでおみ)さんと賢哉(けんや)さんはセミダブルのベッドが二台ある部屋を選んだ。 麻斗(あさと)さんと柊吾(しゅうご)はそれぞれの個室。 海辺を散歩したり、庭でぼんやりしたり。 景色や皆の写真もたくさん撮った。 食事の支度の段取りや洗濯物の乾き具合を考えなくてもいいから気分的にも楽だった。 お昼はオシャレなイタリアンのケータリング、夜は豪華な和食の仕出し弁当。 初めて食べる食材やメニューもあって楽しいし面白い。 どれも美味しかったし、皆一緒に食事できる事が嬉しかった。 誠史さんが選んでくれた香りと口当たりのいい日本酒も飲んだ。 お風呂は交代で。 残りのメンバーはUNO大会をして順番を待つ。 せっかく皆が揃う旅行だから、皆で一緒に何かしたくて持ってきた。 柊吾が『膝の上に来いよ、一緒にやるぞ』って言うから、柊吾とペアになって参加する。 皆が見てるのに柊吾は俺を抱きしめたり、どさくさ紛れに体を撫でたり。 『楽しそうだね。次は俺の膝の上においで』って麻斗さんも言い始めたから、1ゲームずつ順番に膝の上に乗せてもらってペアを組む事になった。 皆それぞれ俺を可愛がってくれる。 知らない人が見たら謎のUNO大会だけど、俺にとっては皆にくっついて甘えられる楽しくてたまらない会だった。 全員がお風呂を済ませたタイミングで皆と順番におやすみなさいのキスをして、誠史さんと一緒に寝室へ。 明日の着替えの準備をしていると、誠史さんは先に横になって俺を眺めていた。 皆でエッチな事をしてる家のベッドも大きいけど、キングサイズのベッドは本当に大きい。 背の高い誠史さんが思いっきり手足を伸ばして大の字になってもまだ余るくらいのサイズ。 「お待たせ、誠史さん」 急いでベッドに上がると、誠史さんは腕を広げて俺を迎えてくれた。 すぐにくっつくから小さなベッドでもよかったかも知れない。 昨日ぶりの誠史さんの腕の中。 毎日でも全然飽きない。 「誠史さん、今日は連れてきてくれてありがとう。こんな素敵な場所で温かくて美味しいご飯を食べて、皆と楽しい時間を過ごして、夜はこうして誠史さんと眠れるなんて夢みたい」 しっくりくるポジションに頭を乗せていつもの腕枕スタイル。 「あぁ、俺も環生(たまき)と過ごせる事が嬉しいよ。この土地は気に入ったかい?」 「うん、静かだし自然もいっぱいだし、波の音も聞こえるし…。家から車で30分の所とは思えないよ」 「そうだろう。慌ただしい日常を忘れるにはちょうどいい」 そう言って俺の頭を撫でる誠史さんは少し疲れているように見えた。 「…お仕事…忙しいの?」 貸し別荘で現実逃避したくなるくらい大変なのかな。 それとも、帰国したばかりなのに夜更かししてエッチな事してたから…? 「あぁ。まぁ、それなりにな。だが、環生が気にする必要はない。俺は元々忙しくしていないと落ち着かない。こんなにゆったりした時間を過ごすようになったのは環生と出会ってからだ」 確かに初めて会った日の誠史さんは俺の予定なんかおかまいなしで、すぐに温泉旅行に連れ出すような人だった。 食事をする店も出かける場所も、誠史さんの中で全部決まっていた。 それはそれで楽しかったけど、その予定を予定通りにこなすのに忙しい印象だったかも。 「俺…誠史さんを癒してあげたい。誠史さんが疲れてるのは俺のせいでしょ?俺に会うために…。だから俺も何かしたい」 「環生は充分尽くしてくれているよ。これ以上望む事はないなぁ」 頬に触れる温かな手、優しい眼差し。 そんな事されたら俺が癒されちゃう。 俺だって、何かしたいのに…。 「そんなの嫌…。もっと求めて。俺の前ではカッコイイお父さんでも、立派な社長さんでなくてもいいの」 素の誠史さんを見せて…と伝えて、頬を撫でた。 しばらく俺を見つめたまま何かを考えるような素振りの誠史さん。 いいよ、何でも言って…と、うなずいてみせる。 「…俺の前では俺だけの環生でいてくれるかい?」 …えっ、それだけ? それならいつもと変わらない。 いつも誠史さんと2人でいる時は誠史さんしか見てないのに…。 「環生が他の男の膝の上で楽しそうにしているところや、キスをしているところを見て嫉妬した…と言ったら驚くかい?」 嫉妬だなんて…。 だって相手は誠史さんの息子たち。 息子たちと張り合う必要なんてないのに。 俺にとって誠史さんは特別。 誠史さんがいる時は誠史さんを最優先してきたつもりだったから意外だった。 「驚いた。誠史さんはいつも余裕たっぷりだし、柊吾たちとイチャイチャしてても気にしないと思ってたのに、意外とヤキモチ焼きなんだ」 「男は皆ヤキモチ焼きだ。環生が気づいてないだけだよ」 誠史さんが帰国すると俺を離そうとしない理由がわかった気がする。 俺を独り占めして、皆にマウントとってたのかも。 「もう…誠史さん、子供っぽい」 「男は皆子供だ。上手く隠しているだけだよ」 「子供の誠史さんはどうして欲しいの?」 「そうだなぁ…。こうして手を繋いで一晩中一緒にいて欲しい。腕の中に閉じ込めておかなくても、環生が側にいてくれると思って安心したいんだ」 俺の手を取る誠史さんの手をぎゅっと握った。 大人の誠史さんが素直に甘えてくれたのが嬉しかった。 「うん、わかった。ずっと手を繋いでいようね」 俺がうなずくと、誠史さんは嬉しそうな顔をした。 「誠史さん、おやすみのキス…していい?」 「あぁ、もちろんだ」 「おやすみなさい、誠史さん」 「あぁ、おやすみ。環生」 そっと触れるだけのおやすみのキス。 俺たちは手を繋いだまま仲良く眠りについた…。

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