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第9章 第19話(※)

柊吾(しゅうご)…大丈夫、もう出ないよ」 俺が達してもまだ咥え続けてくれてる柊吾。 俺は喜んで精液を飲めるタイプだけど、柊吾はそうでもない。 今夜は頑張って飲んでくれたけど、慣れてない柊吾は大変だったと思う。 早く口をゆすぎたいだろうな…と思って声をかけた。 「柊吾?」 あまりに反応がないから体を起こして様子を伺うと、満足したらしい柊吾は眠ってしまっていた。 「う、嘘でしょ?起きて、柊吾」 この状況で寝落ちするなんて信じられない。 体を揺すってみたけど、全然起きる気配がない。 困ったな…どうしよう。 「…たまき…」 俺の名前を呼びながら気持ちよさそうに寝てるから、起こすのも申し訳なくなってきた。 仕方ない、今夜はこのまま寝かせてあげよう。 ふにゃふにゃになった柊吾の性器をペロペロ舐めてキレイにして、パンツとスウェットをはかせた。 眠ってる柊吾を移動させるのは難しいから、布団を譲る事にした。 「おやすみ、柊吾。ありがとう」 おでこにおやすみのキスをして洗面所へ。 歯磨きと洗顔を済ませて、皆を起こさないよう静かに広間へ戻った。 よかった、皆眠ってる。 …と、思ったけど、誠史(せいじ)さんは起きていた。 だってわざとらしく掛布団がはだけていたから。 きっと誘ってるんだろうな。 寝たふりなんかして可愛い。 楽しくなってきて誠史さんの布団に潜り込んだ。 誠史さんはまだ狸寝入りをしてる。 勝手に腕枕におさまって下半身をまさぐると、見事なくらいに勃起していた。 「誠史さんのエッチ。起きてるの知ってるんだから」 「ははは、環生(たまき)には何でもお見通しだなぁ」 「もう…。いつから聞いてたの」 「最初から…だな。俺が環生の布団へ行こうと様子を伺っていたら、柊吾に先を越されたからなぁ」 俺を抱き寄せた誠史さんは、愛おしそうに前髪にキスをしてくれた。 じっと見つめると今度はおでこと瞼に。 「環生のあんな声を聞いたら勃つに決まっているだろう」 「恥ずかしいよ…」 照れた顔を見られないよう、誠史さんの首筋に顔を埋めた。 どさくさ紛れににおいも嗅いでいると、誠史さんの手が腰に触れる。 「俺も環生を愛していいかい?」 「嬉しい…。でも…今日はもうイケないかも…」 「そうか。それならキスをしよう」 「だめ。誠史さん、皆に聞こえるようにわざと大きな音を立ててキスするから」 誠史さんの魂胆なんてわかってるんだから。 俺を恥ずかしがらせたいのと、皆にラブラブアピールをしたいのと。 一番大人なのに子供みたい。 「…誰にも気づかれない静かなキスならいいのかい?」 落ち着いた声、頬に触れる大きな手。 普段はエッチなイタズラばかりしてくるし、結構なレベルで性欲の塊なのに、俺が乗り気じゃないとあっさり引いて切り替えてくれる気持ちの余裕。 やっぱり…一番大人なのかも。 「うん…」 瞳を閉じると、温かくて柔らかな唇がそっと触れた。 本当に唇が重なるだけの無音のキス。 いつも以上にゆっくりで丁寧な口づけ。 離れていく時もいつも以上にゆっくり時間をかけて…。 唇から伝わる優しい愛情が全身に染み渡っていく感じ。 俺の細胞に溶け込んで、体の一部になっていくような感覚。 激しいオトナのキスも好きだけど、このキスも好き。 胸のドキドキが加速していく。  「…俺からもしていい?」 「もちろんだ。楽しみだなぁ」 内緒話みたいに小さな声で話すのも嬉しい。 俺の話を聞こうとして、誠史さんが顔を近づけてくれるから。 俺が喜ぶ事を耳元で囁いてくれるから。 「おいで、可愛い環生」 「うん…誠史さん」 体の隙間ができないようにぎゅっと抱き合う。 俺たちは交代で甘くて優しいキスを繰り返した。

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