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第10章 第4話(※)

柊吾(しゅうご)は俺の望みを叶えてくれた。 体の準備は予定通り丁寧にしてくれたけど、その後はもう…すごいの一言。 四つん這いになったり、背面座位になったり。 とにかくバックでたくさん愛してもらった。 全部よかったけど、特に寝バックが一番気持ちよかった。 俺に覆いかぶさった柊吾は、逃がさないとばかりに俺の手首を握ってベッドに縫い止めた。 密着する柊吾の体や興奮した息づかいを感じながら、体の内側や前立腺をとことん可愛がってもらった。 柊吾が腰を振る度に俺の性器もシーツに擦りつけられて、前も後ろも気持ちいいところだらけ。 終わりの方はほとんどイキっ放し。 意識までは飛ばなかったから、与えられる快感と絶頂の繰り返しを全部この身で味わった。 淫らに喘いで柊吾に溺れた。 行為の後は抱きしめられたままボディクリームを塗ってもらった。 時々キスしてくれるから、ふわふわいい気持ち。 マッサージみたいな手つきが心地よくて、すぐに眠くなって…。 汗ばむ季節になってきたけど、脚を絡めたままぎゅっとくっついて眠りについた。 次の日の事。 午前中の家事を終えた俺は、香川(かがわ)さんに手紙を書く事にした。 一緒に撮ってもらった写真やサイン入りのレシピ本を眺めながら。 秀臣(ひでおみ)さんの作品のファンの湊世(みなせ)さんの真似をして、自分の気持ちを丁寧に伝えようと思った。 書きたい事を箇条書きにしてみたら、ものすごい量になった。 このペースで伝えたい事を全部書いたら便箋10枚以上になりそう。 そんなレポートみたいな手紙が届いたら、香川さんを怖がらせてしまうに決まってる。 何回も下書きをして、読み返して、清書の途中で失敗して、書き直して…。 1回間違え出すと、緊張しておかしなミスをする。 途中で便箋が足りなくなったから買いに行く羽目になった。 外に出たら日差しが強くて夏みたいに暑い。 手持ちの紫陽花の柄のレターセットで書き始めたけど、もっと夏っぽい柄の方がいいかも。 文具コーナーへ行ったら、朝顔や向日葵、スイカ柄がやたら可愛く見えた。 どうしよう、迷う…。 悩みに悩んだ俺は、柔らかな色合いで上品な向日葵柄のレターセットを買った。 半日たっぷり時間をかけて、便箋2枚に凝縮した想いを綴った。

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