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第11章 第9話side.柊吾

〜side.柊吾(しゅうご)環生(たまき)とケンカをしてから数日たった。 環生と相談して、相手の男と話をするまで腕枕やキスは我慢するって決めた。 それなのに、相変わらず環生は俺のベッドに潜り込んでくるし、さり気なく触ってくるし、誘うようなそぶりも見せる。 やんわりと避けると、淋しそうにするから心が痛い。 ふいに触れてくる手にドキッとするし、甘えた声で名前を呼ばれるとワガママを叶えてやりたくなるし、ねだるような瞳で見られると下半身が熱くなる。 でも、あんな大ゲンカをした手前、簡単に環生に手を出す訳にはいかない。 そうは思うが、可愛い環生の誘惑に負けてしまいそうで、必死に煩悩を振り払う。 冷たい水でも浴びたら欲もおさまる気がして、風呂から上がる時は水のシャワーを浴びる。 そんな俺の努力を知らない環生は、俺のベッドでカップルにオススメのマッサージ動画を見るようになった。 最初は普通のマッサージで、だんだんヤラシイ雰囲気になっていく動画。 恋人にしてやるつもりで勉強し始めたのか、解禁日がきたら俺にするつもりなのか、それとも動画で俺をムラムラさせるつもりなのか、環生の真意はわからない。 ただ、動画の真似をして枕を揉む環生の手つきが、めちゃくちゃヤラシイ。 今すぐ枕になって環生に揉まれたい。 いや、それよりも俺が環生にありとあらゆるエロいマッサージをしてやりたい。 気を紛らわすために法律の本を読んでみるけど、頭に入ってくる訳がない。 割と頻繁に環生と体を繋げていたから、こんなにお預け状態なのは久しぶりだ。 俺の知る限り、環生はディルドの類は持っていない。 あのエロエロ環生だって挿れるのを我慢してるんだから俺も我慢だ…と思って、オナ禁を続けている。 そんな環生は、やたら色づいた瞳で動画を見ている。 環生だってそろそろたまってきた頃だ。 動画を見ながら、さり気なく腰を揺らし始めた。 隣にいるのに抱けないなんて…。 環生を満たしてやれないのなんて生殺しだろ…。 こんなに性欲旺盛になったのは環生を抱くようになってからだ。 それまでもそれなりに性欲はあったけど、姿を見ただけでヤラシイ想像をする事も、気配を感じるだけでムラムラする事もなかった。 毎日抱きたいと思う事も、一晩で何度も勃つ事もなかった。 環生が俺の体を変えた。 どうすんだよ…責任取ってくれよ…と思いながら、揺れる環生の尻を横目で見る。 完全に目の毒だ。 そう思っていたら、環生が急に動画を見るのをやめた。 「何だよ、エロ動画もう終わったのか?」 「ち、違うよ!マッサージの動画だもん…」 ちょっとからかってやると、顔を真っ赤にした環生は俺に背を向けて布団にくるまった。 「眠くなったからもう寝るね。おやすみ」 まだ環生が寝るには早い時間だ。 チラッと見える小さな赤い耳。 まさか、あのマッサージ動画を見て、本気でムラムラしたのか…? いつもなら発情した環生に気づいたら後ろから抱きしめて、耳元でエロい事を囁いて…。 我慢できない環生が抱きついてくるから、そのままキスをして、胸に触れて…。 俺に抱かれて乱れる環生を想像したら、どうしようもなく勃った。 自分でも引くくらいギンギンだ。 環生が背を向けてくれて助かった。 こっちを向いてたら絶対にバレる。 あの男、いつ来るんだよ…。 色々と限界だ…そう思いながら俺も本を閉じた。

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