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第11章 第19話(※)side.秀臣

〜side.秀臣(ひでおみ)〜 「環生(たまき)、気持ちよかった。ありがとな」 「うん、俺も柊吾(しゅうご)に抱かれて嬉しかったよ」 環生と柊吾は微笑み合って口づけを交わす。 幸せそうな2人の様子。 環生が毎晩のように柊吾の部屋で過ごす理由がわかる気がした。 顔中に柊吾のキスを浴びながら、環生は麻斗(あさと)に手を伸ばす。 「今度は麻斗さんに抱いて欲しいな…」 いい…?と遠慮がちな環生の手をそっと握る麻斗。 「いいよ。たくさんしよう」 麻斗の返事を聞いた環生は嬉しそうに微笑んで、麻斗に抱きついた。 お互いの体温を確かめるように、背中や腕に触れ合ってキスを始める2人。 整った顔立ちの麻斗と、可愛らしい環生の触れるだけの口づけはどこか清らかだ。 「はぁ…麻斗さんのキス大好き」 しばらく麻斗の腕の中で唇を堪能した環生は、ゆっくりと四つん這いになった。 しなやかな体のラインと、腰のベリーチェーンが卑猥だ。 「バックがいいの?」 「うん…」 「わかったよ、環生」 麻斗は柔らかな環生の臀部や秘部に何度も口づけると、ゆっくり時間をかけながら体を繋げた。 「辛くない?環生」 「うん…。嬉しい」 柊吾との時の荒々しさとは違った穏やかな交わり。 どちらも幸せそうな環生の笑顔。 「秀臣さんも来て…。さっきの続きしたい」 バックで麻斗に抱かれたまま、また俺自身をしゃぶり始めた環生。 柊吾は環生の体の下に入って胸を舐め始めた。 「環生…気持ちいい?」 「うん、気持ちいいよ…。麻斗さんは?」 「俺も気持ちいいよ」 「よかった…」 環生と麻斗の行為は会話が多い。 体を繋げるのは、性欲を満たすためと言うより、ただのコミュニケーションの一つのようだ。 セックスに苦手意識があるはずの麻斗。 環生を抱くうちに克服できたのだろうか。 しばらく様子を見守っていると、麻斗は環生の左耳の穴を指先でくすぐって『いい…?』と問いかけた。 「うん、指で愛してもらえるのも楽しみ」 微笑み合った2人は、ゆっくり体を離す。 何か2人だけの合図があるんだろう。 2人で寄り添うようにベッドに横になると、麻斗は環生の下唇をついばみながら蕾にそっと指を挿れた。 環生は麻斗の首元に頬ずりしながら、それを受け入れる。 邪魔をしてはいけない気がして、柊吾と一緒に甘くて柔らかなやり取りを眺める。 俺や柊吾は、つい激しく環生を愛しがちだから、こんなにも優しい表情で抱かれる環生の姿は貴重だ。 「あっ…そこ…!」 「…環生の気持ちいいところ見つけたよ。ふっくらしてきた前立腺、指先でつまんで揺らしたらどうなるかな」 麻斗は嬉しそうに微笑みながら、環生のおでこに唇を寄せる。 「だ、だめ…。すぐイッちゃう…」 涙目でフルフルと首を横に振って訴える環生。 そう言いながらも、麻斗に体を寄せて先を期待しているようだ。 「エッチな環生も可愛いね」 キスしようか…と、環生を誘う。 唾液を交換するかのように夢中で舌を絡め合う姿を見ていると、下半身に熱が集まってくる。 自分の弟と環生のキスに興奮してどうする…と思いながら、さり気なく柊吾の様子をうかがうと、柊吾も同じような反応をしていた。 兄弟同士、興奮ポイントも同じなんだろう。 「いいよ、環生。俺の指でイッて…」 甘くとろけそうな声で囁いて、また口づけを始めると、環生はぎゅっと麻斗にしがみつく。 「んんっ、んっ…ん──っ…」 麻斗に唇を塞がれたまま、ビクビクッと痙攣しながら果てる環生は、世界で一番可愛らしい生き物だと思った。

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