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第12章 第12話(※)

環生(たまき)…」 甘くてとろけそうな柊吾(しゅうご)の声と優しいキス。 俺を離さないとばかりに、抱え込むように抱きしめて、脚もしっかり絡ませて…。 そんなに淋しかったのかな…。 香川(かがわ)さんとお泊まりしたから、ヤキモチやいたのかな。 それとも、もう俺が帰って来ないかも…って不安になったのかな。 俺の居場所はこの保科(ほしな)家なのに。 恋人ができても、俺はこの家の住人なのに。 この家は俺のもう一つの実家のような存在だから。 「ぁ…柊吾…」 外はまだ薄っすら明るくなってきたばかり。 こんな時間からエッチな事するなんて何だか新鮮。 耳元で名前を呼ばれて、耳のラインをなぞるように舐められる。 首筋や鎖骨ばかり何度も何度もキスされる。 まだ発情しきってない俺の心や体を目覚めさせるように。 欲情した柊吾に見つめられながら、胸の先をカリカリされる頃にはもうすっかり目も覚めてエッチなモードになっていた。 「気持ちいいか、環生」 「うん、気持ちいい」 キスして…と伝えると、柊吾が嬉しそうに笑った。 まだ歯磨きもしてないし、眠ってる間に汗もいっぱいかいたけど柊吾となら平気。 だって柊吾はどんな俺でも受け入れてくれるし、俺も相手が柊吾なら全然気にならない。 ちょっと臭くても汗でベタベタしていても、最中に大きなオナラが出ちゃっても大丈夫。 それはそれで2人の思い出になるから。 エッチなキスをして欲しくて、少しだけ舌を出す。 無理して柊吾の相手をしてるんじゃなくて、俺もしたいよって伝えたくて。 「環生のそれ、エロいな」 ちょっと照れたような柊吾が俺の舌をペロリと舐めた。 舌に伝わる柊吾の濡れた柔らかい舌の感覚。 お尻の奥がキュン…と疼く。 柊吾の顔を両手で引き寄せるようにして、俺からキスを仕掛けた。 「んっ…、はぁ…柊吾…」 柊吾の舌が器用に動いて、俺の口の中全部を舐め尽くしていく。 どこもかしこも気持ちいいけど、やっぱり舌への愛撫が好き。 交互に舐め合うのも、巻きつけて軽く扱くのもお気に入り。 「柊吾…いっぱい触って…」 「ん…任せろ。いくらでも触ってやるぞ」 体への触れ方も、キスの仕方もいつもの柊吾。 体感も温もりもいつもの柊吾。 『いつもの柊吾』が心地いい。 幸せでふふっと笑うと、柊吾が不思議そうな顔をする。 「ううん、何でもない」 「何だよ、言えよ」 「柊吾と触れ合えて嬉しいな…って思っただけ」 甘えるように抱きつくと柊吾は満足そう。 俺のリクエスト通り胸の先を可愛がりながら、背中や腰を撫でてくれる。 俺はスウェットの上から、硬い柊吾自身を撫で回したり、指先でツンツンしたり。 もっと直に触れたくて着ている物を脱がせ合う。 「環生の肌…気持ちいいな」 肌の感触を楽しむように、あちこち撫でたり揉んだり。 その手が少しずつお尻に近づいていく。 早く触って欲しい。 いつもみたいに柊吾の手でお尻の準備をして欲しい。 俺はキスをねだりながら俺自身で柊吾の裏筋をなぞったり、先端を刺激したり。 これをすると柊吾が喜んでくれるし、俺も気持ちいい。 お互いの蜜が絡まり合う感じもエッチで好き。 「柊吾…?」 いつもなら楽しそうにお尻に触れてくれるのに、今日は腰のあたりを撫でるだけ。 そこから全然先に進んでくれない。 焦らして俺の反応を見てるのかな…って思ったけど、違うみたい。 俺を見つめる柊吾は、眉間にシワを寄せて苦しそうな切ない顔をしていた。

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