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第13章 第10話(※)

年が明けたと思っていたら、あっという間に一週間が過ぎた。 特に何か予定があった訳じゃないけど、お節を食べて初詣に行って、駅伝を見て、毎日の家事をしてるうちに、時間がたっていた。 恋人の恭一(きょういち)さんとは、まだ会えてない。 恭一さんは今、テレビの中にいる。 俺の大好きな優しい笑顔で、お茶の間に余ったお節のリメイク方法を伝えてる。 恭一さん、ちょっと痩せた気がする。 心配だな…、ちゃんと休めてるのかな…。 最初は誕生日もクリスマスも年末年始も会えないなんて…って淋しかったし、ちょっと不満に思う事もあったけど、あまりに会えなさすぎて、だんだんそれにも慣れてきた。 遠距離恋愛ってこんな感じなのかな…って前向きに考えられるようになった。 それはきっと、柊吾(しゅうご)が俺の誕生日もクリスマスも年末年始もずっと側にいてくれたから。 俺の淋しさを、あの手この手で埋めてくれたから。 柊吾がいなかったら、恭一さんとケンカしてただろうし、今頃上手くいってなかったかも知れない。 柊吾には感謝してもしきれない。 今日はようやく保科(ほしな)家の皆が揃うから、延期になっていた皆の誕生日とクリスマスを同時にお祝いするパーティーをする。 メイン料理は皆にも好評のから揚げ。 後はクリームシチュー、ブロッコリーと人参のサラダ、キノコとベーコンのキッシュも作った。 ケーキはお取り寄せして冷凍庫に入れておいたブッシュドノエル。 賢哉(けんや)さんも一緒にゆっくり食事をしながらおしゃべりをした。 皆の笑顔が集まるこの瞬間が大好き。 パーティーもお開きになって、皆で後片付けをして、賢哉さんが帰っていって…。 これからは…保科家の皆とのイチャイチャタイム。 交代でお風呂を済ませて、いつもの大きなベッドの部屋へ。 秀臣(ひでおみ)さんが作ってくれた部屋着のテーマはトナカイ。 股上が浅めのショートパンツに、上着丈の短めトップス、トナカイの角カチューシャ。 それぞれのすそには、白いモフモフがついていた。 チラッとお腹が見えるデザインなんだけど、食べ過ぎちゃったから、お腹がぽっこり出て恥ずかしい。 せっかく秀臣さんが作ってくれたのに、台無しにしてしまってる気がする。 「可愛いトナカイさんだね」 そう誉めてくれたのは麻斗(あさと)さん。 「うん…でも、お腹が出てて…」 手で隠そうとすると、秀臣さんが手を握ってそれを制した。 「それも環生(たまき)の魅力だ」 ぽっこりお腹が魅力的だとは俺には思えないけど、保科家の皆は自然体の俺が好きらしく、どんなビジュアルの俺でも可愛がってくれる。 「それより股上浅すぎだろ…。目のやり場に困る」 俺のお腹を撫で回しながらエッチな目で俺を見るのは柊吾。 今からするのはトランプ大会。 ババ抜きで勝った人が俺の着ている物を1枚脱がせて30秒間キスをするのがルール。 俺が裸になるまでに、キスだけで俺をムラムラさせるミッション付き。 もし俺が勝ったら全員1枚脱がせて30秒ずつキスしていいんだって。 神経衰弱なら自信があるけど、ババ抜きは顔に出てしまうせいか全然勝てなくて、俺はあっという間にショートパンツを一枚残すのみ。 これを脱いだらパンツ一丁になってしまう。 皆は全部着たままなのに。 「絶対俺が環生を脱がすからな」 異様に気合いが入ってるのは柊吾。 柊吾は俺の誕生日あたりから、恭一さんや俺に気をつかってエッチな事を仕掛けてこなかった。 だからたまってるんだと思う。 柊吾にはいっぱい気持ちいい事してあげたい。 ババ抜きは宣言通り柊吾が勝った。 柊吾は俺を膝の上に乗せると、嬉々としてあちこち触りながらショートパンツを脱がせた。 「なっ、何だよ。このエロパンツ…!」 それは俺も思ってた。 秀臣さんが作ってくれたパンツがエッチすぎるって。 トナカイカラーに合わせたブラウンのツルツル素材のワンショルダービキニ。 初めて知ったタイプのパンツ。 ビキニタイプのパンツの半分が存在しないパンツ。 片方の腰骨と、性器に引っかけてはくタイプ。 左側から見ればビキニパンツをはいているようだけど、右側から見たらノーパン状態。 ずり落ちてこないのかな…。 身動きしたらポロリしちゃわないのかな…って心配だったけど、意外とフィットしていい感じ。 秀臣さんがクリスマスカラーのラインストーンがついたベリーチェーンをつけてくれた。 「こんなエロエロ環生にキスしたら、歯止め効かないぞ…」 柊吾は明らかに興奮した様子で布のない方の俺のお尻を撫で回す。 その眼差しや手つきに、俺のお腹の奥がズクン…と疼いた。

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