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第13章 第20話

「…とりあえず、食事の準備をしましょうか」 「はい。恭一(きょういち)さんと一緒に作るご飯楽しみです」 単純な俺はすっかりご機嫌。 恭一さんが俺の気持ちを肯定してくれた事も、恭一さんが同じ気持ちでいてくれた事も嬉しくてたまらない。 お互いの気持ちを伝え合うと、こんなにも穏やかな気持ちでいられるんだ…。 特製の和風カレーと豆腐サラダ作りも、食事の時間もずっとずっと楽しかった。 恭一さんと住んだらこんな感じなのかな…って、こっそりニヤニヤした。 食後の片付けも仲良く一緒に。 時々キスをして微笑み合って。 体だけじゃなく、心の距離も近い事が幸せ。 「環生(たまき)さん、一緒にお風呂に入りましょう」 今日はオレンジの香りがする泡風呂にしたんです…と、嬉しそうな恭一さん。 そうだ、お風呂。 恭一さんと恋人になった日に言われたんだった。 『この先一緒に過ごす夜のお風呂は私と入って欲しいんです。1日の疲れを癒す特別な時間を、大好きな環生さんと過ごしたいと思っています』って。 恭一さんの裸を見てみたいけど、少しだけ躊躇する。 だってきっと恭一さんの裸を見たらムラムラしてしまうから。 肌を見せるのは初めてで、通常モードでも恥ずかしいのに、反応した体を見られるなんて恥ずかしくて気絶しそう。 「環生さん、一緒に洋服を脱がせ合いませんか?初めての事は一緒にしましょう」 いつもよりテンション高めの恭一さんも何だか新鮮。 そんなにお風呂が楽しみなのかな…。 ドキドキしながら向かい合って着ている物を脱がせ合う。 大人の恭一さんに釣り合うように、ちょっとキレイめなシャツを着てきたけど、今日はニットにすればよかった。 恭一さんの華奢な指が一つずつボタンを外していく所作がどことなくエッチだし、少しずつ脱がされていく感じが恥ずかしい。 こういう時は思い切ってドーン!と脱いだ方が恥ずかしくないはず。 ニットだったら一気に脱げたのに…。 羞恥心を振り払うように恭一さんを脱がせていく。 恭一さんと同じペースでシャツのボタンを外そうと思うけど、緊張してるからか上手くできない。 焦れば焦るほど手間取ってしまう。 「大丈夫、慌てなくていいですよ」 手の甲に優しい手が添えられた。 余計に恥ずかしくなって、裸よりは見慣れている恭一さんの顔を見つめながら手を動かした。 ゆっくり時間をかけながら脱いでいって、後はお互いのパンツを残すのみ。 恭一さんのパンツが気になるけど、俺はまだ恭一さんの顔から目をそらせない。 保科(ほしな)家の皆の裸なら、ドキドキしながらも直視するけど、恭一さんの裸は見られない。 保科家の皆になら、裸を見られても平気。 むしろ見られると興奮しちゃうくらいだけど、恭一さんには見せられない。 無理!恥ずかしすぎて無理だよ…! 思わず背を向けてしゃがみ込んでしまった。 「環生さん、床は冷たいですよ」 包み込むように後ろからふわっと抱きしめられた。 背中で感じる恭一さんの肌の感触。 思わず体が強張ってしまう。 「大丈夫、抱きしめるだけです」 嫌ですか…と尋ねられて、首を横に振る。 「嫌じゃないです、嬉しいんです。でも…恥ずかしすぎて…」 恭一さんも同じなのに、自分だけ恥ずかしがってるのが一番恥ずかしい。 「そうだ。見るのも見られるのも恥ずかしいなら、抱き合いましょうか。そうすればお互いの裸が視界に入らずに済みます」 そのままこちらを向いてください…と、囁く優しい恭一さん。 面倒くさい俺に付き合おうとしてくれる気持ちが嬉しい。 応えるように体ごと恭一さんの方を向く。 恭一さんの合図で立ち上がると、身長差があるから俺の目の前には恭一さんの胸。 刺激が強すぎてまた恭一さんの顔を見る。 恭一さんも俺を見つめ返してくれたけど、視線がちょっとだけ合わない。 おかしいな…と思って視線の先を追うと、恭一さんは頬を染めながら俺の胸を見ていた。 「きょ、恭一さんのエッチ!」 「す、すみません。勝手に見ないようにしようと思ったんですが…」 我慢できませんでした…と、申し訳なさそうな顔をしながらも、ずっと俺の裸を見続ける恭一さん。 「もう…!」 「無理ですよ。ずっと見たいと思っていた環生さんの裸を見るチャンスなんですから」 照れつつも、半ば開き直った様子の恭一さん。 そうまでして俺の裸が見たいなんて…と、思ったらだんだん可笑しくなってきた。 「恭一さん、『せーの』でパンツ姿を見せ合いませんか?」 「そうしましょう。環生さんを知りたいし、環生さんにも私を知って欲しいです」 俺たちは『せーの』の掛け声で体を離し、お互いのパンツ姿を披露した。

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