352 / 420
第13章 第26話
晩ご飯は賢哉 さんも呼んで仲良くすき焼きパーティー。
皆と一緒だと楽しくて、ついつい箸とお酒が進んだ。
食べ過ぎてお腹がはち切れそう。
誠史 さんがお風呂に入っているうちに食器を洗っていると、柊吾 がやってきた。
「なぁ、環生 。今日は父さんと過ごすのか?」
「うん…そのつもり。久しぶりに帰ってきてくれたから…」
「そうか…。そうだよな…」
自分を納得させるようにつぶやいた柊吾は、後ろから俺をぎゅっと抱きしめた。
「今日だけは…一緒がよかった」
そう言いながら俺の髪に顔を埋めたり、体をピタッとくっつけたり。
甘えるような仕草。
昨日、俺が恭一 さんの家に泊まりに行ったから淋しかったのかな…。
濡れた手を拭いて、柊吾の腕に触れた。
何度か撫でると、抱きしめる腕の力が強くなる。
「あぁ、すまない」
キッチンにやってきた秀臣 さんは、また気まずそうに出て行ってしまった。
しまった、俺…また…!
柊吾に待ってて…と伝えて秀臣さんを追いかける。
誠史さんとの事も、まだちゃんと謝ってない。
「待って、秀臣さん。お昼間も今もごめんね…」
「俺の方こそすまない。どうも今日は間が悪いようだ」
「もうしない。共有スペースではエッチな事しないって約束するから…」
だから、この家に置いてください…と、頭を下げると優しく抱きしめられた。
「秀臣…さん…?」
叱られはしないと思っていたけど、優しくしてもらえるとも思ってなかったから驚いた。
戸惑っていると、急に廊下の壁に追い詰められて唇を塞がれた。
身動きできないまま貪るようなキスをされる。
「んっ…秀臣さ…んんっ」
俺…秀臣さんとエッチなキスしてる…。
そう認識すると、お腹の奥の方がムズムズする。
この状況下で感じてしまうのもどうなんだろう…と思うけど、気持ちいいものは気持ちいい。
「…これで、父さんや柊吾と同じだ。環生が気を病む事はない」
俺を解放した秀臣さんがポンポンと頭を撫でた。
わざと…キスしてくれたんだ…。
「…ありがとう、秀臣さん」
抱きついて頬にお礼のキスをしている時だった。
「あっ、秀臣。何やってるんだよ」
様子を見に来た柊吾がすぐに俺の腕を引く。
秀臣さんから離れた俺を囲い込むように抱きしめた。
「秀臣ばかりずるいぞ。俺も環生とキスしたかったんだ」
いいだろ、環生…と、キスしようとするから慌てて止める。
「ちょ、ちょっと待って、柊吾」
「何だよ。どうして俺だけダメなんだよ…」
「ダメじゃないけど…」
ここではちょっと…。
助けを求めて秀臣さんを見ると、背後に現れたのは誠史さん。
「…何をしているんだ、お前たち…」
お風呂上がりの誠史さんが呆れた顔で俺たちを見ていた。
ともだちにシェアしよう!