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第14章 第3話(※)side.柊吾
〜side.柊吾 〜
「ねぇ、柊吾…」
「ん、どうした?」
1回イッて、俺の腕の中でぼんやりしていた環生 。
少し落ち着いてきたのか、小さな声で話し始めた。
「実は…もう1個、柊吾にお願いがあるの」
恥ずかしそうに俺の手を握って、わざと可愛いおねだり顔をする。
このパターンはヤラシイ系の無理難題コースだ。
嫌な予感しかしない。
「俺…イラマチオを経験してみたい」
「はぁっ!?いきなり何言い出すんだよ…」
「お願い、1回でいいから」
「…そんなのアイツとやれよ」
「だ、だめだよ…そんな事…。恭一 さんとはそういう関係じゃないし…」
やっぱり環生とアイツは『まだ』なんだ。
どのデートから帰ってきても、特別変わった様子もなかったから何となくそんな気はしていたが、本当に『まだ』だとは。
『泊まりやデート=セックス』ではないとは思うが、環生と2人きりになって、毎回自制できるアイツの精神力に驚いた。
その気でいる環生が隣にいたら朝までコースだろ…。
アイツも麻斗 と同じセックスに重きを置かないタイプなのか。
それとも環生が好きすぎて手を出せないのか…。
「ねぇ、柊吾はやった事ある?」
「ある訳ないだろ。そんな特殊なやつ…」
「…それならやろうよ。一緒に初めての事しよう」
「……」
環生の望みを頭ごなしに否定も拒絶もしたくない。
ただ、これだけは本気で気乗りしない。
「柊吾とならお互いの体の具合もわかってるし、信頼関係も築けてるから安心だし」
環生に認められているのは嬉しいが、それとこれとは別問題だ。
「…柊吾がしてくれないなら、誰か他の人に頼んじゃおうかな…」
いいの…?と、俺を試すような瞳。
「いい訳ないだろ、そんなの…」
それだけは気に入らない。
俺の知らないヤラシイ環生を他の男に見せたくない。
…結局環生の思い通りだ。
ベッドに座る環生を後ろから抱きしめて脚の間に挟む。
嬉しそうにもたれてくる環生と、スマホでイマラチオについて調べる事になった。
イチャイチャしているうちに気が変わるのを期待して耳を甘噛みしたり、うなじに口づけたり。
もぅ、マジメに調べて…と、頬を膨らませる環生。
どうやら本気らしい。
仕方なくやり方や、コツ、注意するポイントを書いた記事を読み進めていく。
どう考えても苦しそうだ。
苦しむ環生を見て興奮できる気がしない。
俺主導らしいから、加減できるだけマシだ。
とりあえず軽くそれっぽい事をして、雰囲気を楽しめれば環生も満足するだろう。
辛い時の合図と、イキそうになった時の合図も決めた。
「本当にやるのか」
「うん、やりたい」
環生の気持ちは変わらないようだ。
いい加減俺も覚悟を決めよう。
「わかった。でも、その前にキスしてもいいか」
「うん、したい…。エッチなのいっぱい…」
膝に乗ってきた環生を抱き寄せて唇を重ねる。
さっきあんなに味わったはずなのに、柔らかな唇の感触がたまらない。
キスの合間に、環生の華奢な指輪が俺の下半身に触れる。
「柊吾…大っきくなってる…」
硬さを確認した環生は、嬉しそうに微笑んだ。
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