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第14章 第10話
朝、目が覚めたら柊吾 の腕の中にいた。
恭一 さんに会いに行ったけど、色々タイミングが合わなくて部屋を飛び出して…。
保科 家の皆に迎えに来てもらって、麻斗 さんのうどんをおかわりしたところまでは覚えてる。
きっと寝落ちした俺を柊吾が運んで一緒に眠ってくれたんだろう。
「起きたか、環生 」
「うん…おはよう、柊吾。昨日…ありがとう」
「ん…」
優しく抱き寄せられておはようのキス。
俺が思い描いてる好きな人と迎える朝のやり取り。
柊吾は当たり前のようにそれを与えてくれる。
「もう起きるのか?」
「うん…」
起き上がろうとしたけど、潮干狩りで普段使わない筋肉を使ったせいか、あちこち痛い。
ぎこちない動きをしていると、柊吾が助けてくれた。
柊吾が充電しておいてくれたスマホを見たら、何度か恭一さんから着信があった。
昨日の事を謝るメッセージも。
連絡をくれるなら、会いに来てくれたらいいのに…とも思うけど、恭一さんは今朝から北海道のイベントへ。
また一週間離れ離れ。
でも、物理的に離れていた方が変に期待しなくて済むし、心穏やかに暮らせるかも知れない。
恭一さんに対してそんな事を思ってしまうのもどうかと思うけど。
皆で朝ご飯を食べて、家事をして…。
恭一さんに返事をしないと…と、思っていたら、友達の湊世 さんから電話があった。
『今夜泊めて欲しい』って。
事情を聞いたら、旦那さんの紘斗 さんが出張に行ってしまって、どうしても淋しいとの事。
新婚さんの2人はいつも仲良し。
1人で過ごせないなんて可愛すぎる。
俺にもそれくらい可愛げがあったら、恭一さんも会いたいって思ってくれるのかな…。
保科家の皆に相談したらすぐにいいよって言ってくれたから、急きょお泊まり会。
せっかくだから昨日のアサリでボンゴレを作ろう。
皆で一緒にご飯を食べて、夜は俺の部屋で湊世さんとおしゃべり大会をしたい。
1人でいるのも淋しいし、お世話になるから何か手伝わせて欲しいって言ってくれた湊世さん。
お言葉に甘えて、晩ご飯の支度を手伝ってもらう事にした。
もしかしたら1人で食事をするのも淋しいのかも知れないと思ったから、お昼も一緒に食べようって誘ってみた。
湊世さんはベーカリーで全員分のお昼ご飯を買って来てくれるらしい。
俺はパンに合いそうなサラダやミネストローネ、フライドポテトを作る係。
面識のある秀臣 さんは、賢哉 さんと一緒に湊世さんを迎えに行く係。
麻斗さんは食材の買い出し係で、柊吾は掃除係。
湊世さんとゆっくり過ごせるのが嬉しい。
保科家の皆を紹介できるのも。
早く湊世さん遊びに来てくれないかな…。
俺は楽しみで仕方なかった。
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