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第14章 第19話(※)side.恭一
〜side.恭一 〜
「大好きです、恭一さん…」
「私も環生 さんが大好きですよ」
照れた様子でそっと唇を重ねてくる環生さん。
一生懸命キスをしながら下着から私自身を取り出した。
温かくて小さな環生さんの手に包まれる。
優しく何度か扱かれると、信じられないほど気持ちよくて先走りがにじんでくる。
「恭一さん、濡れてます…」
指先で先走りをすくう姿はどこか楽しそうに見えた。
「舐めてもいいですか?恭一さん…」
「…気持ちだけで充分です。無理する必要はありませんよ」
いくらお風呂で洗ったとは言え、どうしても清潔だとは思えない。
過去に体の関係があった人たちも、流れで義務的にしている様子で、快楽よりも申し訳ない気持ちが先行してしまう。
どちらかと言えば避けたい行為。
「全然無理じゃないです。むしろ舐めたいです」
ふふっと微笑んだ環生さんは、私をベッドに座らせると、脚の間へ移動して身を屈めた。
わざわざ性器を舐めたいと思う環生さんの感覚が不思議でたまらない。
嬉しそうな様子に、止めるタイミングを失ってしまった。
「舐めさせてね、恭一さんの恭一さん」
環生さんは先端をツン…とつつきながら楽しそうに話しかけると、そっと唇を寄せた。
「うわぁ、キス…しちゃった…」
恥ずかしそうにそうつぶやくと、またチュッと口づける。
唇にキスするように優しく丁寧に、何度も何度も…。
その幸せそうな表情に嘘はなかった。
「あぁ…環生さん…」
経験した事のない快感に思わず声が漏れた。
私が感じているのを察した環生さんは、ニコッと微笑む。
可愛らしい舌先が溢れてくる先走りを舐めとっていく。
ソフトクリームを食べるように、先を咥えたり舌を這わせたり。
「気持ちいいですか?恭一さん」
「ええ、こんなに気持ちいい事だとは知りませんでした」
「嬉しい…。もっと気持ちよくなってくださいね」
環生さんはそっと竿の部分を握ると、裏筋や袋を小刻みに舐め始めた。
くすぐるような舌づかいに、腰が跳ねる。
楽しそうな環生さんを見ていると、今まで感じてきた罪悪感や嫌悪感が嘘のように消えていく。
愛のある尊くて素晴らしい行為のように思えてくる。
与えられる愛を少しでも返したくて、何度か後頭部を撫でると、環生さんは気持ちよさそうに目を細めた。
唾液の絡む卑猥な音を立てながら口全体で扱く環生さん。
夢中になる姿も、吸い付きすぎて窪んだ頬も全てが愛おしい。
私に口淫するうちに欲情したのか、環生さんの瞳と吐息にが甘さを増していく。
少しずつ揺れ始める華奢な腰。
「環生さんも…気持ちいいんですか?」
「はい…。恭一さんの先が頬の内側にあたると、口の中を愛撫されてるみたいで気持ちよくて…」
口を離す時は手を使って扱き続ける環生さんの言葉に驚きを隠せない。
『口淫=奉仕』に近い感覚を持っていた私にとって、それが環生さんの快感に繋がるという認識ではなかったから。
「どうしたら環生さんはもっと気持ちよくなれますか?私にもさせてください」
「…恭一さんの先端を押し当てて、ゆっくり頬の内側をなぞって欲しいです…」
言われた通りにすると、私の先に内側から押されて膨らむ環生さんの頬。
その膨らみが愛らしいと思うと共に、何故か興奮を覚えた。
「動かしますよ…」
根元を指で固定して少しずつなぞっていく。
力加減がわからなくて恐る恐る。
「んっ…」
胸を愛撫した時のような濡れた声。
気持ちよさそうな環生さんの様子に自信がついた私は、何度か繰り返した後、反対側の頬へ。
感じる度に唾液で満たされていく口内。
滑りがよくなって、擦りつける度に私自身も硬く大きくなっていく。
それに気づいた環生さんは、うっとりした表情でまた口淫を始めた。
根元まで咥え込むと、口を窄めながら出し入れを繰り返す。
絡みつく舌の感触や、絶妙な締めつけ具合が絶頂を誘う。
「環生さん、もう…」
肩に触れて射精が近い事を伝える。
口を離して欲しいと合図したのに、環生さんはきつく吸いついて離そうとしない。
このままでは口の中に出してしまう。
「いけません、環生さん…」
腰を引こうとしても、じっと私を見つめて首を横に振る。
上目づかいの環生さんの圧倒的な愛らしさと、その可愛らしい環生さんに導かれる絶頂の瞬間。
堪えきれずに、そのまま達してしまった。
「すみません、環生さん。口の中に…」
急いで体を離そうとしても、また首を横に振る。
環生さんは自然な様子で精液を飲みくだすと、先に残ったものまで吸い尽くしてからようやく口を離した。
ふぅ…と、一息つくと、今度は唾液と精液に塗れた性器を丁寧に舐め始める。
穏やかに微笑みながら、まるで果てた私自身を労わるような、ねぎらうような、そんな優しい動き。
体だけでなく、心まで満たされていく感覚。
私はされるがまま、環生さんの流れるような動きを見つめ続けた。
「はぁ…幸せ。満足しました」
ひと通りの流れを終えたらしい環生さんは、自分が果てた後のように満足そうな笑顔。
私との触れ合いでこんなにも幸せそうにするなんて。
環生さんに愛されている事を身をもって理解した。
「ありがとうございます…環生さん」
環生さんを抱き起こして、きつく抱きしめる。
「俺も…ありがとうございます」
私の背中に手を添えて、優しく撫でる。
恭一さん、大好きです…と囁きながら。
私の方が大きな体をしているのに、環生さんに包み込まれているような感覚。
懐かしいような、初めて味わうような不思議な感覚。
あぁ、そうか…。
幼い頃から1人で過ごす事が多かった私は、ずっと誰かにこんな風に抱きしめてもらいたかったんだ。
何もかもを肯定されて、無条件に与えられる温もりや愛情に満たされたかったんだ。
それを叶えてくれたのは…環生さん。
ますます環生さんが愛おしくなって、抱きしめる腕に力がこもる。
環生さんもそれに応えるよう、私をぎゅっと抱きしめ返してくれた…。
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