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第14章 第24話(※)side.誠史

〜side.誠史(せいじ)〜 「あぁんっ、誠史さん…深い…あぁ─っ!」 今日の体位は環生(たまき)の顔がよく見える対面座位だ。 親子丼3Pを提案したのは俺だが、体を繋げる瞬間は環生を独り占めしたかった。 環生の華奢な体を抱え込むように抱きしめて、前立腺に当たるよう狙って貫くと、その衝撃でイッた可愛い環生。 くたっと脱力して俺にもたれてくるのが愛おしい。 「どうした、環生。もうイッたのか」 「うん…。誠史さんに抱かれると、すぐイッちゃう…」 「可愛いなぁ、環生は」 間髪入れずにピストンを開始すると、だめ…と言いながらもすぐに喘ぎ始める環生。 舌を絡めるキスをして、自分の肩を環生の敏感な胸の先に当ててやると、ビクビクッと跳ねた。 「やぁん…またイッちゃう…!」 環生を突き上げながら、チラッと柊吾(しゅうご)に視線を移す。 柊吾はすぐ側で俺たちの交わりを見つめていた。 その表情や瞳には明らかな嫉妬の炎。 俺から環生を引き剥がして囲い込みたいのをグッと堪えているようだ。 ──柊吾は自分がハンドルを握っていた交通事故で恋人を亡くしてから、消極的になった。 まるで自分が幸せになるのを禁じるかのように、社会との繋がりを絶ち、自分の殻に閉じこもるようになった。 ロンドンでの生活を続ける俺に、麻斗(あさと)が柊吾の様子を逐一報告してきたが、今までろくに親らしい事をしてこなかった俺は、柊吾の心に寄り添う事から逃げた。 適切な接し方もわからなかったし、俺の言葉が届くとも思わなかった。 俺にできるのは仕事をし、生活費を送り続ける事だけだった。 そんな柊吾は、環生と出会って変わった。 それは、初めて環生に会った日に実感した事だ。 柊吾の瞳に力が宿っていた。 過程はわからないが、環生の存在は柊吾の心の隙間に上手くフィットしたんだろう。 何度か帰国するうちに、環生への執着を目の当たりにするようになったし、何かしらの欲求を口にするようになった。 外にも出るようになったし、復学も果たした。 環生がいい影響を与えているのは明白だった。 柊吾は環生に惚れたのだと思った。 だが、環生は他の男を選んだ。 柊吾は環生に気持ちを伝える事も、恋路を邪魔する事もできたはずなのに。 本気で欲しがれば、環生も柊吾の手を取るだろう。 実際問題、環生と柊吾が想いを交わしたら俺の出番はなくなるだろうから、淋しくなるのは事実。 だが、今ならまだ間に合う。 環生が完全にあの男と結ばれる前ならば…。 柊吾を焚きつけるつもりで環生を求めたが、柊吾の決意は固かった。 自分は二番手でいいと言う。 本当は環生が欲しくて欲しくてたまらないくせに。 環生も俺たちのやり取りを見ていて『やっぱり柊吾がいい』と言い出すかと思ったが、そうでもない。 この2人の関係性は謎に包まれている。 『恋』や『愛』とはまた違った、2人だけの気持ちや関係性があるのかも知れない。 若者の感覚はやはりよくわからない。 「あぁん、あっ…ぁ…あん、誠史さん…激し…あぁん…」 俺に抱かれて乱れながらも、柊吾を気にかけているのがわかる。 手に入りそうで入らない環生。 意識を自分だけに向けたくて、そのまま正常位になる。 柊吾に触れさせないよう、手を握って深いキスをして、環生の奥深くに存在を刻みつけていく。 熱くてとろけた欲しがりの環生の中は、少しでも早く 搾り取ろうと、収縮を繰り返す。 「環生、俺が欲しいだろう?」 そんな聞き方をする自分が滑稽だった。 環生に求められたい、環生の一番でありたいと必死な自分。 息子と張り合ってどうする…とも思うが、それほどに環生は魅力的だ。 このまま環生が気絶するまで抱けば、柊吾は環生に触れられない。 「うん、欲しいよ…誠史さん…。でも、柊吾も欲しいな」 「環生…。今は俺との時間だ」 「ううん、今は3人の時間。3Pは3人で仲良くするから楽しいの」 柊吾と交代して…と言いたそうな顔。 俺の希望が通る見込みはなさそうだ。 「…わかった、交代だ」 「ありがとう、誠史さん」 そうは言いつつも、なかなか離れ難い。 抱え込むようにして、顔中に口づけると『もう、だーめ』と、クスクス笑う環生。 いつも以上に楽しそうだった。 「柊吾…」 愛しい恋人を呼ぶかのような優しい声音。 可愛がってきた環生が、俺を受け入れながら他の男を求める姿は、なかなかの衝撃だった。 これが3Pか…。 俺は初めて経験する3Pに若干の戸惑いを感じていた。

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