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第14章 第25話(※)side.柊吾

〜side.柊吾(しゅうご)〜 父さんが環生(たまき)を抱くところを初めて見た。 秀臣(ひでおみ)麻斗(あさと)とする時より、環生の乱れっぷりがすごい。 喘ぎ声も大きくて色っぽいし、表情も腰づかいも何もかもがヤラシイ。 この世で一番環生を抱いているのは俺だ。 環生の体を一番知っているのは俺だと思っていた。 でも、目の前の環生は父さんに夢中。 俺との時より悦んでいるのは明らかだ。 父さんが帰国する度、環生が父さんばかりと過ごす理由がようやくわかった。 父さんは、誰よりも環生の心と体を満足させているんだ。 俺の誘いを断って、父さんとの行為に溺れるほどに。 普段、環生が俺を求めるのは、父さんの代わりだったのかも知れないな…。 環生が俺を呼ぶけど、自信をなくした俺は環生を抱ける気がしない。 ためらっていると、不思議そうに俺を見た。 「柊吾…?」 「……」 どうする事もできずにいる俺を見て、様子がおかしい事を察した環生。 父さんの腕の中の環生が俺に手を伸ばした。 「今度は…柊吾が抱いて」 これまで何度も環生に求められてきた。 同じ『抱いて』でも、毎回微妙にニュアンスが違う。 これは優しく抱いて欲しい時のねだり方だ。 身も心もとことん甘やかして欲しい時の顔だ。 「柊吾がいいよ…。お願い、柊吾」 今日は俺を喜ばせるための小芝居じゃなかった。 環生の本心だ。 父さんに抱かれていても、環生は俺を求めるんだ…。 急に体に力がみなぎった。 父さんみたいに大悦びはさせてやれないかも知れない。 だが、俺には環生と積み重ねてきた時間がある。 俺には環生がどうして欲しいかが手に取るようにわかる。 俺にしかできない環生の愛し方があるんだ。 「環生…」 すぐ側までいって手を取ると、安心したように微笑む環生。 父さんの頬にチュッとキスをした環生は、父さんから離れて俺のすぐ隣に座った。 いつものように抱きしめると、ふにゃっと笑う。 対面座位と正常位はしたから、今度は後ろからして欲しいはずだ。 頬を撫でて、何度か優しいキスをして、耳を甘噛みしながら少しずつ環生の背後に移動する。 環生も嬉しそうに俺の下半身をまさぐりながら寄りかかってくる。 「柊吾といっぱいくっつきたい」 「ん…わかった」 環生を後ろから抱きしめたまま横向きで寝そべる。 これなら体を密着させたまま、環生を甘やかしてやれる。 発情した環生のにおいや指づかいで、もう準備万端の俺自身。 パンパンに張った先端で、尻の割れ目をなぞって蕾をつつく。 もちろん敏感な胸の先もこね回しながら。 「あぁん…それ…気持ちいい…」 ゆらゆら腰を揺らしながら自分からも蕾を押し当てて欲しそうにする。 ようやく俺の元に来た環生。 今すぐ欲望のまま抱いてしまいたい。 それと同時に湧き上がる環生に求められたい欲求。 言葉で表情で、仕草で…俺を欲しがる環生をもっと見たい。 身動きせずにいると、我慢しきれなくなった環生は俺自身を握ると、腰を揺らしながら器用に先をのみこんだ。 「……っ…」 溶けそうに熱い環生の中。 待ち焦がれたようにくっついてきて、キュウキュウと締めつける。 甘えて抱きついてくる環生みたいだ。 挿れてくれないの…?と、言わんばかりの環生が俺を見つめる。 早く、早く…と可愛い蕾から伝わる合図。 「環生…もっと奥まで挿れるぞ」 「うん…」 くねる腰を抱き寄せて押し進むと、すんなりと奥まで迎え入れられた。 環生に丸ごと包み込まれた感覚に胸が熱くなる。 「はぁん…」 ふるふるっと身を震わせて幸せそうに俺の手を握った。 父さんが激しめに抱いたから、いつもよりは緩かったし、ローションと先走りでヌルヌルだった。 勢いよく突いてしまわないよう、環生の奥を撫でるようにゆっくり挿入を繰り返す。 「ふふっ、あったかくて気持ちいい…」 望みの叶った環生はご機嫌だ。 甘えるように俺に身を委ねる。 でも、環生は父さんの愛撫も欲しいんだ。 甘えたがりの環生は、唇も胸も環生自身も余すところなく愛されたいんだ。 「誠史(せいじ)さんも来て…」 環生は可愛い声で父さんを呼んだ…。

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