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第14章 第26話(※)
「誠史 さんも来て…」
久しぶりの柊吾 の質量をお腹の奥で感じながら、誠史さんを呼んだ。
誠史さんは少し戸惑った様子で俺を見ていた。
あ、あれ…?
親子丼3Pは誠史さんからの提案だったけど、もしかしたら誠史さん、3Pは初めてだったのかな…。
柊吾と俺は慣れっこだけど、誠史さんはどうしたらいいかわからなかったのかも。
俺は初めての親子丼3Pにちょっぴり背徳感を感じつつ、楽しい思いをしてるけど、誠史さんは楽しめてないのかな…。
もっと気配りをすればよかった。
「誠史さん、ぎゅってして…」
「……」
「誠史さん…?」
いつもなら俺のおねだりを聞いてくれるけど、今日の誠史さんは無理みたい。
完全に表情が強張っていた。
「すまないなぁ、環生 。どうも3Pは性に合わないようだ」
「そう…なんだ…」
申し訳なさそうな誠史さんに胸が苦しくなる。
柊吾はそんな俺の気持ちに寄り添うように、優しく抱きしめてくれた。
そう…だよね…。
どちらかと言えば特殊なプレイだから、受け入れられなくても仕方ない。
事に及んでみて、ちょっと違うな…って思ったなら、無理して欲しくない。
「可愛い環生には俺だけを見ていて欲しい」
切ない表情を浮かべた誠史さんは、俺と柊吾の頭を順番に撫でると、着ていた物を持って部屋を出て行ってしまった。
「どうしよう、誠史さんに…悪い事しちゃった…」
「3Pするって言い出したのは父さんだ。環生が気にする事ないぞ。たまたま好みのツボが違っただけだ」
「うん……」
柊吾が慰めてくれたけど、心のモヤモヤは晴れない。
誠史さんは俺に会うために帰国してくれたのに。
嫌な思いをさせてしまった。
「…正直言うと俺も父さんとの3Pは気まずかった。父さんに抱かれる環生を見るのは辛かった」
秀臣 や麻斗 に抱かれる環生を見るのは割と好きなのにな…と、不思議そうな柊吾。
そうなんだ…。
だから柊吾もすぐに抱いてくれなかったんだ…。
浮かれて楽しんでいたのは、俺だけなんだ…。
これから親子丼3Pは封印しよう。
でも、俺は3Pも4Pも好きだからやめられない。
今度する時は複数プレイを楽しめるチーム編成でしよう。
そう心に決めた。
「ところで環生、どうする?俺、完全に萎えたぞ」
「俺も…そんな気分じゃなくなっちゃった」
「だよな」
今日は仕方ないよね…と、ゆっくり体を離した。
力をなくしたふにゃふにゃの柊吾自身に、続きはまたね…と伝えると、柊吾がフッと笑った。
「最後まで抱いてやれなくて悪いな」
「ううん、大丈夫。ありがとう、柊吾」
脱いだ物を着せ合って、温もりを共有するように体を寄せた。
このまま柊吾の腕の中で眠ってしまいたいけど、今夜はお預け。
いつも俺の部屋で眠っている誠史さんの場所がなくなってしまうから。
「父さんが帰ったらゆっくりしような」
「うん、約束ね」
「環生の好きなところを一晩中可愛がってやるからな」
「ありがとう、期待してる…」
約束のキスと、おやすみなさいのキスをする。
離れるのが淋しくてもう1回。
ちょっと物足りなくてもう1回。
俺たちはそんなやりとりを結局10ターンくらい繰り返した。
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