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第15章 第1話
あっという間に季節は進んで、夏の終わりが近づいてきた。
今年の夏は猛暑だった。
何をしていてもすぐに汗だく。
夏らしい事をしようという気も起きないほどの暑さ。
特に何もしないまま、ダラダラと過ごしてしまった。
このまま夏が暑くなっていったら、溶けてしまうかも知れない。
友達の湊世 さんからいただいたカブトムシ達も立派な成虫になった。
愛の結晶の小さな幼虫たちも可愛くて、ケースの前を通るとついつい眺めてしまう。
あれ以来、誠史 さんは帰って来ないけど、時々連絡は取っている。
今まで通り仲良しだ。
誠史さんの宣言通りに届いた大きなふかふかのベッド。
部屋の半分はベッドで埋め尽くされた。
ほとんど出番がないのに、なかなかの存在感。
誠史さん、サイズ確認しなかったのかな…。
秀臣 さんと賢哉 さんは、仕事も順調そうだし仲もいい。
そう言えば、いつ結婚するんだろう。
プロポーズをして満足してしまったのかな。
実はもう入籍してたりして。
麻斗 さんのお店は相変わらずの大人気。
産休に入ってしまったパートさんの代わりに、夏休み中の柊吾 が手伝いに行くようになった。
少しずつ外の世界に出始めた柊吾。
すぐ側で麻斗さんが見守ってくれてるから、柊吾も心強いんだと思う。
恋人の恭一 さんは相変わらず引っ張りだこでなかなかお休みが取れなくて。
この夏は夏休みの親子料理イベントで日本中を行ったり来たり。
北海道に押しかけて以来、完全にタイミングを失ってしまってお泊まりデートはできずにいる。
毎日連絡は取っていて、気持ちのすれ違いはないけれど、未だに清い関係だ。
でも、それも今日でおしまい。
ようやく夏休みを取れた恭一さんとお泊まりデート。
初夜を迎えて大人の関係になる…予定。
少しでもコンディションのいい自分を見せたくて、いつもより念入りに保湿とストレッチをして迎えたこの日。
秀臣さんお手製の勝負パンツも身につけてきた。
恭一さんの好きなグリーンのパンツ。
いきなりエッチなのだと驚かせてしまうから、手触りのいい綿素材のシンプルなボクサーブリーフ。
股上が浅めで、丈も短めだから、身動きするとあれこれがチラ見えしてしまうデザイン。
恥ずかしいけど…気に入ってもらえたらいいな。
「こんにちは、環生 さん」
「恭一さん…こんにちは」
家まで迎えに来てくれた恭一さん。
お休みモードの恭一さんに会えるのは本当に久しぶり。
少し痩せてしまったけど、シャープな印象になって、男前度にさらに磨きがかかった。
相変わらず俺の恭一さんは爽やかで素敵。
今日のデートは全部恭一さんプロデュース。
どこに連れて行ってもらえるんだろう。
俺は楽しみで仕方なかった。
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