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第15章 第16話(※)

「動くぞ、環生(たまき)…」 「うん…」 対面座位のまま俺の腰をぎゅっと抱き寄せた柊吾(しゅうご)が囁く。 さっきまで泣いていた柊吾。 赤みを帯びた目尻にそっと唇を寄せる。 涙の理由は教えてくれなかったけど、きっと俺を抱きながら恭一(きょういち)さんの事を考えたんだと思う。 ヤキモチをやいてる感じではないから、淋しくなっちゃったんじゃないかな…。 確かに俺は恭一さんが好きだし、結婚の約束もしてる。 でも、柊吾も特別な存在。 恋愛感情とか友情とか家族愛とか…どれも当てはまるような…当てはまらないような不思議な感じ。 上手く関係性が説明できないけど、柊吾はいつも俺の味方でいてくれる大切な人。 柊吾の頬を両手で包み込むようにして、おでこや瞼にキスをしていると、柊吾からも触れてくる唇。 だんだん柊吾がリードするキスに変わっていく。 「全部俺がするからな」 「うん…お願いね」 こんな状況でも約束を守ろうとする柊吾。 その気持ちに甘えて全てを託す。 俺の様子に安心したのか、柊吾が本気モードになった。 リズミカルに突き上げながら、指先で胸をカリカリ引っかいたり、同時に俺自身を扱いたり。 合間に耳を甘噛みするのも忘れずに。 全部してくれるって約束通り、気持ちいい事フルコース。 柊吾づくしのセックスだ。 「あぁん…ぁん…はぁん…あんっ…」 気持ちよすぎて、いつもより大きな声で喘いでしまう。 複数プレイ慣れしてしてるから、柊吾1人で俺を満たそうとすると大変なはず。 手も腰も忙しいし、きっと明日筋肉痛になると思う。 でも、柊吾はそんな事おかまいなしに一生懸命俺を抱く。 俺は…それが嬉しくて。 「柊吾…柊吾…」 名前を呼んでぎゅっと抱きつく。 口を半開きにしてキスをねだると、すぐに舌ごと絡め取られた。 「環生に…もっと呼んで欲しい」 そんな熱い眼差しを向けられたら胸もお尻もキュンとなる。 それで喜んでくれるなら、いくらでも呼びたくなる。 「柊吾…」 「…もう1回…」 「柊吾…」 耳元で囁くように呼んだら、柊吾が嬉しそうに笑う。 俺の名前も呼んでくれるけど、熱い吐息が耳にかかってくすぐったい。 でも…いつもより甘い柊吾の声を聞いていると、満たされていく気がする。 俺たちは名前を呼び合いながら、濃密な時間を過ごした…。

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