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第16章 第2話
「こんなに手の込んだ料理をありがとうございます。大変だったでしょう」
「恭一 さんに喜んで欲しくて、それで…」
今夜のメニューは湊世 さんに教わったラザニアとカラフルな根菜サラダ。
保科 家の皆がお気に入りのポトフも作った。
恭一さんは味つけや盛り付けまで一品ずつ丁寧に誉めて、普段の食事よりたくさん食べてくれた。
喜んで欲しくて勝手にした事だけど、大好きな恭一さんに頑張りを認めてもらえた事が幸せだった。
食後のお風呂は2人一緒に。
今夜の入浴剤は華やかなローズの香り。
ミルキータイプだから、パステル調のピンク色のお湯が可愛い感じ。
向かい合って湯船に浸かっていると、恭一さんがそっと俺の手を握った。
「環生 さん、今日は本当にありがとうございました」
「そんな…。恭一さんに喜んでもらえて嬉しいです」
食事中もたくさん『ありがとう』を言ってくれたのに、まだ言ってくれるんだ…。
そんなに嬉しかったのかな。
「1人の生活が長かったので、部屋に明かりがついていた事も、部屋が温かかった事も、環生さんが私のために食事の支度をして待っていてくれた事も…全てが嬉しかったです」
そうだ…。
俺が両親や当時の恋人や保科家の皆に甘えて暮らしてる時も恭一さんはずっと1人で頑張っていたんだった。
これからは俺が恭一さんの支えになりたい。
恭一さんに『おかえりなさい』を伝えて、安らいで欲しい。
もっとお家にお邪魔させてもらおうかな…。
それとも早く同棲か結婚をした方がいいのかな。
「環生さん、私に合わせて無理だけはしないでくださいね。環生さんは頑張りすぎるところがありますから…」
自然な環生さんが好きですよ…と、おでこにキスを一つ。
恭一さんは何でもお見通し。
いつも俺の気持ちに寄り添って尊重してくれる恭一さん。
大好きな気持ちを伝えたくて、自分からぎゅっと抱きついた。
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