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雨恋情1

 それでも抱きたいと思う。  戦友は帰った。  オレは仕事を引き受けた。  猫がオレの足元にすりよった。  あの男と髪の色と同じ毛。  淡い瞳。  オレは猫を抱き上げた。  撫でてやる。  恋人の背中を撫でた夜を思った。  恋人が小さく笑う声を聞いた。  「くすぐったいな」  そう言う唇に、ついばむようにキスをした。  あの唇を割って舌を入れるのがオレは好きだった。  「殺してやる」  優しい思い出とともに、たぎるのは復讐の炎。  家族を殺されたあの日をオレは忘れてはいない。    「そこ、いい」  喘ぐ恋人の声。  オレは強請られるまま、望む場所を突いてやった。  恋人が達してもそれを繰り返し、「もういい、許して」と何度も泣き叫けばせた。  泣き顔。乱れた吐息。  愛しくて。愛しくて。  オレは何度もキスをする。  殺してやる。  オレの心は引き裂かれていた。

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