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不安な夜の過ごし方4
「君の中に女の人がいる」
あの子が言った。
綺麗なオレンジがかった瞳がオレを見つめる。
この目はどこまで見えるのかと思う。
恐ろしい位透明な目だ。
相変わらず、オレと年が変わらないようには見えない。
高校生位にしかみえない。
オレの初めての人の想い人。
そして今は教授の養い子で、現在その妹と教授宅で同居しながら家政夫をしている。
ちなみに妹は教授から愛娘として、溺愛されている。
そして、彼は本物のシャーマンなのだ。
オレの腹に穴があき、あの人の左腕がなくなり、何故か教授のヒゲがなくなった事件がきっかけで、彼等兄妹は教授に引き取られた。
その話はまた別の話だ。
オレは教授の家に連れて来られていた。
「祓えるか?」
教授が聞いた。
「出来るけど、僕がすると、 さんも、中の女の人もどちらも消える」
この子はとんでもないことをさらりと言う。
彼の力はとんでもなく強い。
だけどそれは滅ぼすための力なので、意外と使えない。
「話が出来るか?」
教授が尋ねる。
「やってみる」
あの子の瞳がオレンジ色に見えた。
ひどく眠い。
オレの意識が遠くなっていく。
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