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眠れぬ夜の過ごし方2
ああっ
声をあげて遊女がよがる
背後から男に貫かれているのだ。
それはオレにされているのも同じで、オレも遊女の中で声をあげる。
「女のそこよりいいって、お前のここは」
つながっているところを なぞりながら、男は言った。
はぁん
男のそこを搾り取るように尻がうねり、男 は呻く。
「女のモノよりよく締まるのに、女のモノみたいに柔軟で」
男は立ち上がっている、遊女のモノを手でしごいた。
ああ
遊女が叫ぶ。
「こんなモンがついてるってるのに、それがまた楽しいと思っちまう」
男はしごきあげる。
「ああ、そんなことはしないでくださいませ」
遊女が叫び、腰をさらにふる。
男は淫らな手付きで遊女を追い上げる。
「お許し下さい、もう、だめ」
あああ
背中をそらして遊女が白濁を放つ。
「 こんな淫らでいやらしいくせに、顔はおぼこ娘みてぇで」
息絶え絶えの遊女の口を吸う。
「特別な客しか買えない遊女、か。普通のヤツなら一度でお前にハマって身代潰すぜ」
男はささやく。
男は夜の事には手慣れていて、遊女が本気で乱れているのがオレには分かった。
それはオレも同じで。
「オレは男は初めてなんだが、お前は本当に
いい」
男は感心したように呟いた。
「早くくださいませ、早く」
遊女が切なく叫ぶ。
男にあわせて腰を動かし 、搾り取ろうとさる。
「手管も技もいい 。いつも、誰に大してもこうしているんだと思っても、思わず本気になてしまう」
男は笑った。
男は遊女の中で射精した後、遊女の着物をはだけさせ、その胸を露わにし、乳首を吸った。
はぁ
遊女は声を零す。
「男のこんなところ吸って喜ぶなんて思いもしなかったね」
男は笑う。
でもそこが気にいったらしい。
弄ぶ。
男の舌使いは巧みで、遊女は耐えられず男の髪に指を入れて乱す。
「そんな悪さはやめてくださいませ」
あえぐ姿を男は笑う。
「たまんねぇなぁ、ここは綺麗な桜色だし、肌の白さに味も甘い、ここだけ見てれば、年端の行かない生娘犯してるみたいなのに」
男は再び立ち上がっている遊女のそれを掴んで、しごく。
ああ、いや
遊女がすすりなく。
「ここは立派な男のそれで」
男は顎を掴んで、遊女の口を吸う。
舌を吸い上げ、絡める。
それは巧みで、声が口の中に零れる。
男の唇が離れ、
男は遊女の唇を指でなぞる。
「顔見りゃ、天女みたいな別嬪だ」
男は感心したように遊女を眺めた。
「これは確かに大したもんだ。お前は確かに特別だよ」
肩に脚を担ぎあげ、男は遊女の後ろの穴に自分のモノを押し入れた。
使い込まれたそこは難なく、受け入れる
はぁ、はぁ
遊女は喘ぐ。
もうとろけるように緩みきった身体を男は笑いながら抱く。
潤んだ目、緩んだ口元。
「それが手管か。普段の気っ風の良いお前に、こんなになられては骨抜きにならない男はいないな」
男はゆっくりと腰を回し始めた。
「好きなようにしてくださいませ」
遊女はかすれた声で囁いた。
「するさ、その為にお前を買った」
男は囁き激しく動き始めた。
はぁ、いい、いい
遊女は叫び続けた。
「あの野郎、無粋なのにも程がある」
遊女は機嫌が悪い。
本来ならば、昨日の名残の手紙をしたためる時間であるのに、今日は全く書けていない。
「ねえさん」
お付きの女の子が怯える。
まだ十にもならない子だ。
「おや、こわがらせてしまったかい。ごめんよ、コレでもお食べ。しばらく一人にしておいておくれ」
遊女は客からもらった金平糖を紙に包んで、少女に渡した。
少女の顔が華やぐ。
綺麗な服を着ていても彼女達の食生活は質素この上ないのだ。
甘い物はとても嬉しい。
弾む足取りで去っていく女の子に微笑を送ると、遊女は再び顔をしかめた。
「あのドスケベやろう」
手紙なと書いてやるものか。
遊女の思いが伝わる。
「桝屋の大旦那だ、この上もないことじゃないか」
声がした。
遊女は慌てて座り直す。
「お父さん」
この妓楼の店主だ。
「お前のことが殊の外お気に召したようだよ。天下の桝屋さんだ。良かったじゃないか。男っぷりも、金の使い方もあんな方はなかなかいない」
店主の機嫌は遊女と違ってとても良い。
「あちきはあの方、嫌です。人を抱きながら、お前を買った買ったと連呼して。無粋なのにも程がある」
遊女はまくしたてる。
色恋を楽しむのが、一流妓桜での楽しみ方だとされていたわけで、昨日の男の態度は嫌われるだろう。
「お前も今年で19才、陰間ならばもう客を取れない年頃だ、もちろん、お前は陰間などとは違うがね 、今こそ花だ。でも、他の妓達より早く花は萎むだろう」
店主は言い聞かせるように言う。
「あの方ならばおまえを身請けしてくださるかもしれない。大切なお客様だと思わなければならないよ」
店主は、大切な商品を愛でるように遊女の頬を撫でた。
「お前は特別だからね、あの方かお前にハマるの は時間の問題だよ」
抱えた遊女の子供はなかなか下ろせず、結果生ませるはめになった。
しかも生まれた子供は男だった。
下働きにでもするかと、育ててみたら、物心つくまえにその美しさは際立っていた。
だから、店主は男ではあっても遊女にしてみることにした。
陰間ではなく遊女に。
それは間違いなかった。
この子は大金を呼ぶだろう。
遊女はつまらなそうに二階から、色町の通りを眺めていた。
もうすぐ、昼見世が始まる。
遊女は特別な客専門なので、格子の中に並ばなくても良い。
「手紙、書かないと怒られるぞ」
男が言う。
幼なじみだという、見世の使用人だ。
「明日書くよ。身請けなんてどうでもいいのに」
遊女がつぶやく。
男は驚く。
「なんでだここから出られるんだぞ」
どれほど多くの遊女が望むことなのか。
「ここと何がかわるんだい?ここで大勢の遊女であるのと、外で誰かの専門の遊女になるのとなにがかわるんだい」
自由になんかなれないさ。
遊女は言う。
「ええと、それはだな」
男はどう言えばいいのか困っているようだった。
「思いつかないのなら黙ってんのがいいさ」
はん、遊女は笑った。
「どうせ、オレはお前と違って頭は悪いよ」
男は拗ねる。
「遊女か賢いのは男に取り入るためさ。それは頭か良いのとは違うさ。仕事だよ」
遊女はキセルをふかす。
遊女の中から見ていて、オレは分かったことがある。
この遊女は賢い。
高級遊女が古典等の素養や、手習い、歌、三味線、踊りなどは仕込まれていたことはオレも知っていた。
将棋や囲碁などが出来る者がいたことも。
でも、この遊女は将棋や囲碁が出来るなんてレベルではなくとんでもなく強かった。
客にはいい感じで相手が勝てるように計算して相手をしていたが、本気で勝負してもよい客には負けたことはなかった。
その上、部屋に転がっているのは高度な和算の算術の本だった。
内容のレベルは現代においてもかなり高い。
遊女の頭脳は極めて高かった。
そして、それは遊女が生きる世界ではあまり意味のないことだった。
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