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眠れぬ夜の過ごし方3
「ああつまらないねぇ」
遊女はそう呟いていた。
どこへ行こうと誰かや何かに支配されているなんて。
生きていることはこんなにもつまらない。
それは悲しい真実だった。
ふと、
遊女の瞳は窓の外にそれをみつけた。
遊女の胸が突然たかなった。
ドキン
それは、窓から遊女がみつけたもののせいなのは分かった。
「先生!!」
弾む声が呟く。
「おい、お前」
男が止めようとする腕をすり抜け、遊女は駆け出していく。
足取りが軽い。
まるで金平糖をもらった少女のよう。
少女のように笑いながら、遊女は駆け出していく。
通りを歩くあの人にむかって。
笑い声が漏れる。
嬉しい。
嬉しい。
今日は会えた、嬉しい。
履き物さえ履かずに、通りに飛び出て、遊女はその人の胸に飛び込んだ。
「先生!!」
遊女は呼ぶ。
「やぁ、 」
男はおっとりと答えた。
抱きついた遊女を、遊女が傷付かないように優しく身を離す。
男は質素な格好をしていた。
帯刀はしていたが、とても士官しているとは思えなかった。
背が高く、綺麗な顔立ちをしていた。
そう、少し。
あの人に似ていた。
オレは少し何かがわかってきた。
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