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悪意な夜の過ごし方1
絶望の底に陥る人間の目が見たい。
深い深い絶望が見たい。
悪い気配がした。
神社の近くで僕は振り返った。
今日は週に一度のあの人とのデートだ。
なぜかなし崩し的にそういうことになってしまっている。
何故か教授も公認で。
ただし、11時が門限になっている。
僕が行きたいと言ったので、あの人は例の神社に連れて来てくれた。
前はデートと言いながら、ホテルに速攻連れ込まれていたのだけど、最近はちゃんとって言ったらおかしいけど、デートらしいデートもしている。
一度は妹連れのデートでさえあの人は頑張って耐えていた。
妹を先に家に送った瞬間、車の中で襲われたけれど。
あの人なりに精一杯頑張っているのだ。
あの人は神社の人と今度行う心中事件の再現について少し打ち合わせするはめになったらしく、何か話ししている。
ちょうどいい。
邪魔が入らない方がよく視れる。
良くない予感がする。
あの人と彼が起こしたのは、遊女だけではないのかもしれない。
もう一人、いや二人、遊女以外の何かがここを離れた。
遊女以外にここに囚われていたものがいたのだ。
そのうち一つは良くないものだ。
人に取り憑かなければいい。
人に入ってさえしなければ、僕がどうにか出来るのだけど。
人に入ってしまえば、ややこしい。
僕はため息をついた。
あの人が笑顔で戻ってくる。
ほんの一瞬離れてただけなのに、随分長く離れていたかのように。
子供みたいにかけてくる。
でも子供はこれからあの人がするようなことはしない。
ああ。
この後、また僕ヤラレちゃうんだろうな。
どうしてだか、僕はこの人を拒否できないのだ。
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