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決めたその夜の過ごし方3

 準備のために、アイツに着付けをしている彼を見ていると、胸がザワザワする。  しかも二人は笑いあってて。  私は、思い出してしまう。  アイツが彼を道端で犯していた姿を。  あの時はまだ彼を優秀な学生だとしか思っていなかった頃で。  電柱の陰で、人に見られるかもわからない場所で、彼はコイツに立ったまま背後から犯されていた。  驚いた。  アイツのご乱行は有名だったし、本人も隠す気もなかった。  まさかその相手が彼だとは、思いもしなくて。  ゲイなのは本人から聞いていた。  そうか、くらいにしか思わなかった。  でも、アイツに貫かれながら、声を殺し喘ぐ姿に私は思い知らされた。  彼の相手は男なのだ。  彼は男相手に、あんな風に息を乱し悶えるのか。 もし、こんな場所ではなく、ベッドの上ならもっと妖しく乱れるのだろうか。  彼を初めて意識し、アイツに嫉妬と怒りを覚えた瞬間だった。  でも、あの頃の彼はアイツに夢中で。  傷つけられながら、それでも必死でアイツを求めていて。  私は納得出来るまでアイツを追うのをやめられないだろう彼を見守るしかなかった。  そんな事を思い出して、イライラする。  「似合いますね」  彼がアイツを誉めて、  「惚れ直したか?」  とアイツがニヤニヤ笑いながら言うのを聞いて私は止まらなくなった。  しかも、アイツは彼の肩を抱いた。  「お前は触るな!」   オレら彼を自分の方に引き寄せていた。  思わず抱きしめていた。  嫌だ。  彼をもうアイツに触らせたくない。   子供みたいな独占欲だ。  「あの、教授」  彼が私の腕の中で身体を強ばらせていた。  離そうと思うのに、もっと強く抱きしめてしまう。  離したくない。  「お前は触るな」  オレはアイツを睨みつける。  彼の髪が私の顔のそばにあって、片手で髪を撫でながら彼を強く抱きしめる。  嫌だ。  アイツに貫かれ喘ぐ彼の映像が脳に焼き付いている。  嫌だ。  わかっている。  これは嫉妬だ。  彼が驚き身体を固くしているのがわかっていても、彼の身体を離せない。    「あの、教授。でも今日はこの人と  さんが心中することが目的ですから、そこは諦めて下さいね」  のんびりとあの子に言われるまで、 私は彼を離そうとしなかった。

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