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悪鬼のような夜の過ごし方4

 「遅かったか」  おれは一足遅かったようだ。  青い格好の男は役人らしい。 「警官」だと教えてくれた。  一太刀で喉を斬られていた。   見事なもんだ。  もう一人の男は、ひでぇもんだ。  何度となく刺された上、  殺した後に犯されている。  アイツは良い身体を見つけ出したようだ。  こちらの身体も悪くはないが、この調子じゃ何人死ぬか。  こちらは協力をとりつけてあるから自由には動くけれど、向こうは取り憑いているから、本体の意志に左右される分、何をするのか予想がつかない。  アイツを追わねーと。  おれはこの場を離れようとした。  ものすごい煩い音がして、赤色の光がくるくる回っていて、おれの周りを青い服の役人が囲んだ。  パトカーだと教えられる。  おっと。  コレはこの時代の人間ではないおれでもヤバいことがわかる。  御用ってことだろ。     逆らうな  身体の主が言ったのでおれは大人しくする。    「昨日釈放したのにまたあんたを捕まえなきゃいけないのか」  呆れたようにパトカーから出てきた親玉みたいなやつが言った。    「おれじゃない」  おれは言った。  殺してない。   俺でもない  おれの中で身体の持ち主も言った。

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