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悪鬼のような夜の過ごし方6
「その手を離せ」
私はアイツ、いやアイツに取り憑いているモノに向かって怒鳴った。
怒鳴りながら、彼の身体を引き離す。
アイツの腕の中にいる彼。
喘いでいた彼。
背後から貫かれ、壁に手をつきながら身悶えていた。
思い出して、嫉妬に身体が焼けそうだ。
私は彼を背後から抱きしめる。
アイツなんかには渡さない。
渡さない。
今日も、彼はアイツを思いやるようなことを言って、オレは思わず嫉妬にかられて、キスしかけた。
でも、彼は嫌がらなかった。
まだ気持ちがアイツに残っているのかもしれないが、でも、間違いなく娘が現れなければ、あのままキスできた。
赤い顔。
寸前に閉じられたら瞳。
思い出したら、私の股間が堅くなる。
「あの、教授」
彼が身体を強ばらせている。
もしかしたら、私の身体の変化にも気付いているのかも知れないが、もういい。
彼ももう知ってもいい。
私が彼を好きなことを。
年の差や、以前、対象外だと言われたことを思い出せば、自信が萎んでしまうが、でも、手を握った時も、今朝も彼は嫌がらなかった。
もう限界だ。
もう待たない。
私は決めた。
決めたんだ。
「お父様ばかりズルイ。私も さん抱っこする~」
娘が無邪気に私と彼に抱きついてこなければ、そのまま彼を寝室まで引きずり込んでいたかもしれない。
娘のおかげで助かった。
私の理性も大したことはない。
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