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悪鬼のような夜の過ごし方7

 おっと、怒らせちまったらしい。  こちらの兄さんと旦那もそう言う仲ってことか。  衆道ってのはこの時代でも盛んらしい。  おれにはわかんねーや。  「いや、旦那、おれはこの兄さんの中にいるヤツをずっと探してましてね、この兄さんによからぬ想いは抱いてませんよ」  おれはにこやかに説明する。  「その外見で言われても信用出来ない」  旦那はおれを睨みつける。  まだ、その兄さんを抱きしめたままだ。  この身体の持ち主、あんたどんだけ信用ないんだ。  まあ、おれもこの身体の持ち主が恋人とやりたいと言う理由だけて身体を手放す位の好き者だってのは知っている。  「随分、意識をしっかり保っているね。普通は悪意や遺恨だけの塊になって、記憶も自我もなくしてしまうのに。」  綺麗な兄さんが、感心したようにオレに言う。  「オレはしなくちゃいけないことがあって、悪鬼になったからな」  綺麗な兄さんはただ者じゃない。  こうやって、人の身体に入らなければ、耐えられないほど眩しい光を放っている。  そこの可愛いお嬢ちゃんも、光っているが、この兄さんほどではない。  「おれはコイツに再び会えるのをずっとずっと、待っていたんだ」   おれは男前の旦那に頭を下げる。  「旦那、確かにその身体の方は旦那の大事な方かもしれませんが、その身体の中にいる者はおれのもの。おれも借り物の身体で、そちらの身体に悪さは致しません、どうかしばらくおれに任せていただけませんかね」  旦那は難しい顔をしている。     意外と嫉妬深い  おれの中で、身体の持ち主がつぶやいた。  いや、おれはあんたのせいだと思うね。  「任せていいと思う」  綺麗な兄さんが言った。  「こちらの兄さんは、随分精気を分け与えておられるけれど、かなりご負担になっておられるのでは?昨夜は昨夜で絞りとられたでしょうし。本当は一人でも相当なご負担なのに二人となればもう、兄さんでもどうしようもないのでは?」  おれの言葉に綺麗な兄さんは答えない。  だからそれが、真なのだと、旦那は思い知ったらしい。    「妙な真似したら殺す」  そうおれを睨みつけなが ら旦那は抱きしめていた兄さんを離した。  「この身体の持ち主も死にますぜ」  おれの言葉に旦那は答えた。  「むしろ願ったりだ」  この身体の持ち主、あんたは一体・・・  おれは呆れた。  

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