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仕組まれた夜の過ごし方9

 「今日だ。先生にはいなくなってもらわなければね」  旦那がおれに囁いた。  おれは俯く。  「あの子のためだ。何かあの子が企んでいるのは間違いないだろう?」  旦那は笑う。  そして、立ち上がる。  「どこへ行きなさるんで?」  おれは聞いた。  分かってはいたのに。  「あの子の部屋だ。何、大旦那が来るまでには綺麗にしておくし、痕などつけないさ」  旦那は当たり前のように言って、歩きだした。  足音が消えても、おれには旦那がどこを今歩いているのかがわかる。  ほら、もうすぐ、アイツの部屋だ。  扉を開けられ、アイツは裸に剥かれ。    「許して、許して」   泣き叫ぶ声がここにも聞こえた。  そして、それはよがり声に変わる。  おれは顔を覆う  止めてやれない。  もう誰にも抱かれたくないアイツを壊すように旦那は今日も抱くのだろう。  こんなことが続けばアイツ壊れてしまう。  いや、アイツが企んでいる何か。  それは心中なんてもんだけじゃない。  アイツはもう壊れるのかもしれない。    「お父さん、お父さん、許して」  泣き叫ぶ声はどこか甘さを混ぜはじめて。    あの男に恋して。  アイツは壊れてしまった。  オレは決めた。     決めたのだった。  

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