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殺戮される夜の過ごし方3

 「兄さん、刀とかないかな、この家」  悪鬼はとんでもないことを言い出した。  普通ならないんけど、あるんだよね、この家。  僕は仮ににも悪鬼に刃物を持たせるのはどうかと思ったんだけど、教授のコレクションを見せた。  「日本刀はないけど」  山刀、槍、木彫りの柄の太刀。  どちらかと言うとアジア系のものばかりなら。  「コイツがいい」  大きな山刀を悪鬼は手にした。  軽々と持つ。  「この身体の兄さんは鍛えてるね。片手でこれだけ扱えるとは思わなかったよ。おれが生きてた時よりこの兄さんは強いね。腕一本になってからはさらに鍛えてたんだろう。多分、あんたを守るためだな」  ニヤリと悪鬼はあの人の顔で笑う。  僕はドキリとする。  昨日、精気を与える時、この人の顔にキスするものだから、思わず舌を入れてしまったのは、内緒だ。  それに悪鬼が応えたのも内緒だ。  コイツ本当に調子にのる。  まあ、あの人中にいるからバレていて、多分 、悪鬼がいなくなったら僕は一晩中ひどい目あうんだろうけど。  「顔赤くしたら、また、悪戯したくなるぜ。兄さん位綺麗だと、おれでも迷う。そういうとこは、あんた、アイツと似てるな」  悪鬼は笑って、僕はぽかぽかとコイツの胸を叩く。  なんか、なんか調子狂うのは、多分、僕があの人とこんな風に過ごしたいなって思ってしまうからだろう。  冗談言って笑って。  あの人はとにかく僕にさわりたがって、やりたがる。  気持ちいいけど。  確かにいいけど。  いつもそればかりで。  多分、寂しかったんだなぁと。   教授のリュックに山刀を入れて、悪鬼は背負う。  「後は、あのマスコミとやらをなんとか巻いて 神社で旦那達と落合いますか」  悪鬼は陽気に言った。  「武器、必要なの?」  僕の言葉に悪鬼は頷いた。  「アイツを殺して自分のモノにするのがアレの望みだから」  

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