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終わりへと進む夜の過ごし方2

 賢いガキ達だ。  オレは感心した。  なるほど、出口は2つある。  どちらから出てくるか分からない以上は追いかけないわけにはいかないか。  迷路みたいになっている建物の中なら、子供の足でも逃げ切れる可能性が上がる。  なるほど。  でもなぁ、オレは笑う。  オレが一人だったらそれで良かったんだがな。  それにオレがこうなっていなければそれでも、逃げられたかもしれない。  オレは車でついてきていたガキを呼んだ。  「分かるか?」  ガキに言う。  「分かる。光っている」  女の子がいる場所が分かる。  あの女の子は光っている。  オレ達には分かる。  あの女の子も同じだろう。オレ達がいる場所がわかっているだろう。  何で分かるのか。  オレはガキを引き寄せて、その唇をに自分の重ねて舌を絡ませあった。  もう、分かっていたことをオレは認めた。  オレ達はもう人間じゃない。  何日も食事も水も摂らず、人間はこんなには動けない。  疲れない。  息も切れない。  どんなに酷く扱っても、ガキの身体に残るのは元からあったタバコを押し付けられた跡だけだ。  女の子は光っているのはわかる。     眩しい。  あの女の子は殺せるかもしれないが、犯せないだろう。  ガキにヤラせるのも面白いと思ったが。  あの女の子はオレ達には毒だ。  でも、だからこそ、居場所は分かる。  光っているのがわかる。  二人で挟みうちにしよう。  男のガキはすぐ殺そう。    まだ子供を殺したことはない。  オレは楽しくなった。  「さあ、捕まえようぜ」  オレはガキに言った。  そして、殺して、またヤろう。  ガキを負って建物に入った。  「あーやっぱり光ってるな」  オレは笑う。  女の子が光っていた。  オレ達にはそう見える。  女の子とクソガキを足場のようになっている通路で捕まえた。  通路はフェンスが取り外されいて、道路が見える。  いきどまりだ。  オレから逃げようと思ったら落ちるしかない。  はい、追い詰めた。  反対側からは、ガキが銃をもっていて近づいて来ている。  終わりだな。  オレは刀をにぎりしめる。  車からガキに持ってこさせた。  男のクソガキは生意気にも女の子を背中に隠そうとした。  大事な女の子を守るって?  泣かせるね。  「お前、小学生は対象外?」  ガキに聞く。  オレはやはりどうにも。   女の子は最初から対象外だか、いくら男でも、こんな子供ではやはりやる気にならない。  殺すだけでいい。  殺すのは老若男女関係なくいい。  それは問題ない。   「いけなくもないけど、コイツは嫌」  ガキは言い切った。  なる程。  「お前、フラレたね」  クソガキにオレは笑った。  クソガキは震えながらも、女の子の前から動こうとはしなかった。   根性は大したもんだ。   そんなに膝震わせてさ。  誉めてやる。  さあ、殺そう。  後数歩、近づけばいい。  その時、女の子が男のクソガキを通路から道路へと突き落とした。  男のガキは、驚いたような目で道路へと落ちていった。  オレも驚いた。  「マジかよ」  まさか女の子が殺すとはオレの予想をこえていた。  ここは3階だぞ。  しかし、外の道路から騒ぎ立てる声がした 。  下を覗く。   デカいトラックの、つまれた砂の上にガキが刺さっていた。  運転手がこちらを見て騒いでいる。  オレは舌打ちした。  「この高さで、あの砂の上に落ちるなら死なないってことか。お前、どこまで見えてる?あのトラックがこの時間ここに通るところまで見えていたのか?」  女の子は答えない。   ただこちらを静かに見る。  ああ、光ってる。  輝いている。  コイツは少し違う人間だ。  オレ達の反対側にいる。  「騒ぎになるよ」  ガキが言った。  運転手がどこかに電話をかけ、クソガキが砂から抜け出そうとしながら喚いていた。  確かに、騒ぎになる。  オレは女の子の下腹を殴って気絶させ、担いだ。  「じゃあ、行くか」  殺せなかったが、目的は果たした。  これで十分だ。  

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