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戸惑う夜の過ごし方1
あの男はだんだん優しくなってきたし、オレを抱 く時も、たまには溶けるんじゃないかと思うくらい優しく抱いたりもして。
背中のいたるところにある、煙草の跡を消すかのように優しく舐められたら、オレはどうにかなってしまって。
名前を優しく呼ばれたら 指の先まで痺れるほどで。
そんな記憶は甘く思い出せるのに。
さっきなんてすごく優しくだいてくれて。
あんな風に優しく触れられたことなんか、一度もなくて。
気持ち良いだけじゃなくて、わかんないけど幸せで幸せで幸せで。
甘い記憶。記憶。記憶。
でもでも。
男は刀で貫いた。何人も何人も何人も。
その後、その度、オレを抱く。
血まみれの死体の横で男をただ受け入れる。
男が誰かを刀で貫く姿だけでも、オレはイケた。
刺すことは、何もかもを思い通りにする魔法。
血まみれの男に抱かれるのは良かった。
男は獣みたいにオレを抱いた。
獣みたいにオレも男を求めた。
それからそれからそれから。
オレは死体を犯す。
好みの、今まで妄想の中でしかやれなかったような男を犯す。
夢でしか抱けないような、男をオレは抱いた。
例えそれが死体であっても、いや死体だから。
死体はオレを笑わないし、オレの思う通りになる、それが良くて。
生きてる人間に「オカマ野郎」と罵られる訳にはいかなかった。
思われるのも嫌だった。
まだ暖かい身体が肌が良かった。
拒絶されることのない穴が、気持ち良かった。
最高だった。
夢中になって腰を振った。
オレはオレはオレは、オ、レ、は。
女の子がオレを見ていた。
光が淡くその子から立ち上がっていた。
女の子は、女なのに嫌な感じはしなかった。
生まれて初めて見る暖かな光だった。
「助けて」
オレは無意識につぶやいていた。
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