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戸惑う夜の過ごし方2
インターホンが鳴った。
僕はモニターで確かめる。
宅配便の制服を着た男だった。
普通の人間だ。
悪いモノも感じない。
警察はまた連絡すると帰っていったところだ。
まだ 、妹を攫ったやつらからは連絡はない。
僕はため息をつく。
「お荷物です」
男はインターホンごしに言った。
門から玄関まで来てもらうように言う。
そして、玄関に向かう。
マスコミの人達はさすがに門から中には入ってこない。
荷物なんてどうでもいい気分なんだけど、教授のお仕事に必要なものだったら困るし。
僕はドアを開けた。
そして、男が手にしているものを見て、凍りついた。
男は持っていた荷物のダンボールを開けて、中から液体を玄関の外に撒いていた。
液体は、灯油の匂いがした。
ドアを閉めようとした瞬間、瓶が投げつけられ、僕は液体を浴びた。
玄関に瓶が転がる。
男は続いて、マッチをすろうとした。
僕は慌てて瓶を拾い、男にむかって中身をかける。
男も液体を浴びた。
これでマッチを男はすれない。
自分にも火がつく。
男はダンボールから包丁を取り出した。
震えている。
男は怯えている。
この人、普通の人間だ。
包丁は僕に向けられていた。
「殺さなくてもいい、少し刺すだけでいいんだ」
ブツブツと男はつぶやく。
真っ青な顔。
「落ち着いて、話をしましょう」
僕は声をかける。
この人は、誰かに脅されている。
カメラのフラッシュが輝く。
玄関で始まった何かに、マスコミ達が、気がついたのだ。
包丁を持つ男、灯油にぬれた僕。
その瞬間を狙ってカメラのフラッシュが焚かれる。
目映さに僕の視界も歪む。
光が神経をさすようだ。
男は追い詰められた動物のように言葉にはならない叫びをあけた。
男は動揺し、僕の言葉は届かない。
「刺すだけでいい、殺さなくていい」
男はそう叫びながら僕にむかってきた。
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