103 / 126
戸惑う夜の過ごし方4
「昔、男の恋人同士を組にした軍隊が本当にあったんだってさ」
オレは囁く。
中で射精した。
テレビで、男があの家の玄関で人間に火をつけようとしている様子が中継されていた。
「何故なら恋人同士ってのはお互いを守るために命をかけて戦うから、ものすごく勇敢だったんだってよ」
オレは髪を撫でてやる。
「お前の恋人は勇敢じゃないか」
返事はない。
オレは穴の中から自分のモノを引き抜いた。
やっぱり死体じゃ面白くない。
死体は床の上に転がった。
「恋人はもう死んでいるのも知らないで、勇敢に頑張っているじゃないか」
オレは笑った。
物足りない。
やはり、ガキの中がいい。
連れて来たら良かった。
一人で殺したり色々するのも面倒くさい。
ガキは今では役に立つ。
ああ、ガキがいないと盛り上がりにかけるな。
女の子を連れて歩くのはあまりにも目立つのと、らしくない理由でガキを置いてきた。
なんとなく、ガキのいる前で、ガキ以外の人間に挿れるのが気がひけたのだ。
今回はそうする必要があったから。
ガキの目の前で他の男としたくない?
本当にらしくない理由で笑える。
オレはテレビの中継を見ようとはしなかった。
どうでもいい。
ただの嫌がらせだからだ上手く行こうと行くまいと、これはどうでもいい。
オレは部屋を出た。
部屋の中には宅急便の制服と車のためだけに殺された男も転がっていた。
年配の男は殺しただけだ。
制服を汚さないように刀ではなく、枕を当てて銃で殺した。
オレは一線を越えたのだろう。
殺人鬼に一線も何もないだろうが。
今回殺したこのゲイの男は、知り合いだ。
あのお家に「配達」に行った男も。
二人がここに住んでいることも、仲の良いカップルであることもオレは知っていた。
二人はとても仲が良いから、きっと言うことを聞いてくれるだろうと思った。
恋人に銃口を突きつければ、男は何でも言うことを聞いてくれて、オレが殺した宅急便の配達の男の死体も運んでくれたし、車も運んできてくれたし、あのお家に「配達」にも行ってくれた。
ただ、多少オレの本気を見せるために、恋人を目の前で犯してやらなければならなかったけれど。
前々からこの恋人の綺麗な顔が気に入ってはいたし、楽しんだのは認める。
舌も絡ませたし、咥えさせたし。
銃口を突きつけ、死体ではできない楽しみ方はした。
一度抱いてはみたかったので、心ゆくまで楽しみはした。
おかげで本気は伝わって、男はオレの言うことは何でも聞いてくれるようになった。
でも、オレはぐちゃぐちゃ泣かれる位なら、殺してからやるほうがいいんだけどな。
だから、男が「配達」に行ってくれたら、すぐに殺した。
やはり、セックスよりも、刀で貫く方が全然良かった。
死体とやるのが特に好きなわけではない。
うるさいのが嫌いなだけだ。
だからガキがいればそこにいれるんだが。
いないので、死体相手で殺した後の興奮を楽しんだ。
男は恋人が死んでいるともしらず、精一杯頑張るだろう。
まあ 、「配達」が上手く行こうと行くまいと。
オレがあいつの恋人を殺してしまった以上、男がオレの名前を警察に出すのは時間の問題で。
この数日の殺人鬼の正体を人々は知るようになるだろう。
「オレの写真もテレビに映るかな、そろそろ」
オレは笑いながら部屋を出た。
早く戻ってガキが抱きたい
ともだちにシェアしよう!