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絡まった夜の過ごし方1

 オレは新しい車に乗る。  「配達」に行かせた男の車だ。  でも、この車はすぐに乗り換えないと。  男がいつまでオレのことを黙っているのかはわからない。  まだ恋人がオレに監禁されていると思っている間は、黙っているだろう。  オレに恋人を殺させないためだけに、男はオレに言われるまま人を襲ったのだから。  でも、警察が男の家を捜索しないわけもない。  捜索すれば、男の恋人の死体を見つけるだろう。 そうすれば男もオレについてしゃべるだろう。  そうなれば、オレの正体がバレるし、男の車に乗っているのはあまり良くはない。  乗り換えしなければ。  新しい車の持ち主を探そう。  オレもそろそろ動きにくくなってきてはいる。  殺しながら行けるとこまで行くだけなんだが、その前にアイツだけは殺さなきゃいけない。  アイツ。  考えるだけでオレのモノがうずく。  立ち上がりそうだ。  何でここまで執着しているのか自分でもわからない。  確かに好みのタイプだし、オレのモノを噛みやがったことに対するムカつきはある。  でも、どうしてもアイツでなければならない理由は、「オレ」にはない。  いや、もうコレは「オレ」なのか。  オレの中にあるモノ。  殺すことを教えてくれたモノ。  セックスぐらいしかスリルがなかった世界を一気に面白いもんに変えてくれたモノが、アイツを殺せと言っている。  ああ、殺そう。  オレはオレの中のモノに応える。  アイツはオレ達のモノだ。  手当たり次第に殺すよりも面白いゲームじゃないか。  警察の目をかいくぐり、アイツを殺す。  さて、このゲームをどう進めていくか。   考えるだけでもオレは楽しくなってきた。  そのためには。  オレは攫った女の子の携帯をとりだした。  さて、電話するか。  オレは携帯の電話帳から「お父様」と登録された番号をえらび電話をかけた。  

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