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夕刻―。
眞央が中古自動車の在庫管理や自動車の税金についての書類整理などのデスクワーク業をこなしていると、倫平が慌てた様子でやってきた。
「店長、今、ちょっと良いですか?」と、倫平。
「どうした?」
「今から時間は空いてますか?」
「まあ・・・急ぎの用件は入ってないけど。
なんかあったか?」
「尾崎が訪問買取査定のお客様からの帰り道に事故渋滞に巻き込まれてしまいまして、予定してた時刻に戻ってこれないみたいなんです。
それで、18時に車を購入されたお客様の自宅に納車しにいかなきゃいけない予定があるんですが、今回、尾崎とそのお客様の元に行く予定だったんです。
他の社員にも声をかけてみたんですが、みんな手が離せないらしくて・・・」
客が購入した車を客の自宅に納車に行く場合は二人一組となり、二台の車で連なって行く決まりとなっている。
途中で事故やアクシデントに遭遇したときの対処の為もあるが、単純に行きは客に渡す車を運転していくため、帰路につく手段がなくなり、帰りの足となる車が必要となるからだ。
眞央は腕時計を見て時間を確認した。
「場所は?」
「花ノ空市です」
もう出発しなければ納車の予定時刻に間に合いそうになかった。
「分かった。
オレが一緒に行くよ」
「ありがとうございます」
ふたりは急いでショップを出る支度を始めた。
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