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眞央は生ビールの入ったジョッキグラスをグイっと持ち上げると生ビールをそのまま体に流し込んだ。 そして、満足したのか、大きくフーと息をつく。 「悪いね、オレ、ひとりだけ飲ませてもらって」と、眞央。 眞央と倫平は倫平が案内した焼き肉店で焼き肉を囲んでいた。 「すみませーん。 おかわりください」と、店員にビールを更に注文し、どこか上機嫌の眞央。 「オレもさ、前々から焼き肉がずっと食いたかったんだよ。 でも、ひとりもんじゃん。 さすがに、ひとり焼き肉はまだまだハードルが高くてさ・・・」 「・・・・・」 倫平はどこか緊張した面持ちでいて、箸もあまり進んでいない。 眞央は酔いも手伝っているのか、鼻歌交じりの機嫌のよさでひとりで肉を焼いては口に運び頬張っている。 「ほら、これ焼けたぞ」と、倫平の取り皿に焼けた肉を置いてやる眞央。 眞央はやっと倫平の様子に気がついた。 「なんだよ・・・焼き肉が食いたいって言った割には全然食べてないじゃん」 「そんなことは・・・」 「京和もお酒は好きか?」 「えっ?」 「飲みたかったんだな」 「・・・・・」 「悪いことしたな。 じゃあ、また今度な」 「えっ?」 「今度はオレが運転して連れてきてやるから。 今日は機嫌直して、肉だけ食っとけ」 「・・・・・」 倫平は思い切った表情で口を開いた。 「・・・店長っ」 「ン?」 「この後、俺の部屋で飲みなおしませんか?」 「・・・・・」 「店長と・・・もっとゆっくり飲んでみたいんです」 その言葉共に倫平は眞央をじっと見つめた。 食べることを忘れ、思わず意味深げに見つめ合ってしまったふたり。 「・・・・・」 「・・・・・」 焼ける肉の音だけがジュージューと聞こえる。 「・・・悪い。 オレの勘違いだったら、ホント申し訳ないんだけど、確認させてくれな。 オレが勘違いしてる意味で誘ってたりしてないよな?」と、眞央が先に口を開いた。 「・・・そういう意味で誘ってますって言ったら怒りますか?」 「・・・・・」 眞央は口の中にずっと居座っていた焼き肉の欠片をグイっととりあえず飲み込んだ。 「・・・喫煙所で言ったことは冗談なんだけど」 「・・・・・」 眞央はそっと倫平に顔を近づけると、 「マジで男としてみたいのか?」と、声を潜めて聞いた。 「はい」 「なんで? ついてるものは一緒だぞ」 「俺も分かりません。 しいて言うなら、今後の参考の為です」 「・・・・・」 「冗談でも言われた時、純粋にしてみたいって思ったんです、店長と」 「・・・・・」 眞央は体勢を元に戻すと、皿に余っている生肉を焼き始めた。 倫平は眞央の様子を見守った。 眞央はどうやら肉を焼きながら思考を色々と巡らせているような表情だった。 「・・・分かった」と、少し間を取った後、眞央が口にした。 「え?」 「いいよ」 「本当ですか?」 「食べ終わったら、お前の部屋で飲み直そう」

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