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食事を終えると、眞央は助手席に乗り込んだ。 ふたりは倫平の運転で倫平の一人暮らしの部屋があるマンションに向かった。 お互い緊張でもしているのか、車に乗り込んでから、車内ではずっと沈黙が続いている。 眞央は流れる夜景を見ながら、事の成り行きを考えた。 《何をどう考えれば、ゲイの男とセックスしようなんて考えになるんだ? まあ、オレの裸を間近で見たら、ノンケのチンコなんか萎えて、自分のバカらしさに気づくと思うけど》 助手席に座る眞央は倫平の横顔をそっと眺めた。 《正直、京和の顔は好みじゃない。 オレは彫りの深い、目鼻立ちがハッキリした濃い顔が好みだ。 料理で例えるなら、断然フランス料理。 京和の顔はフランス料理って感じじゃない。 申し訳ない(?)が、京和を見てると、出し巻き定食を注文してしまいそうになる顔だ》 見つめられていることに倫平が気づく。 「なんですか?」 「イヤ・・・」 《でも、正直、京和に誘われたのは嬉しかった。 「オレとやってみたいって思った」の誘い文句はゲイのオレとしてはグッとくるものがあった。 オレもノンケと一度してみたいと思った。 だから、誘いに乗った。 けど、実際は出来ないだろうと分かってる。 それがゲイとノンケを区別している世界だから》 車が倫平のマンションのガレージに停車した。 「まだ決心は変わらないのか?」と、眞央。 「はい」 「じゃあ、オレから条件がある」 「条件?」 「まずひとつ。 今からオレ達は上司と部下じゃなく、ただの男と男。 今はプライベートな時間であって、これから起こることは一切仕事に持ち込まない。 何があったとしても今日のことはセクハラだとかでオレを訴えたりしない。 勿論、オレも上司の立場を利用して、京和のことをイビったり嫌がらせしたり無視したりするつもりはない」 「はい」 「ふたつめ。 明後日の勤務からは何事もなかったかのように元の上司と部下に戻ること」 「はい」 「三つめ。 キスはなしな」 「キス・・・?」 「なんで、エッチ目的なら焼き肉なんか誘うんだよ。 オレ、自分の口臭が気になって仕方ないわ~」 「はあ・・・すみません・・・」 「いいか、焼き肉はな、エッチして深い仲になってから一緒に行くものであって、まだキスもしない間柄の時には焼き肉には絶対連れて行くな。 これ、常識な」 「はい・・・」 「で、お前はどっちを試してみたいわけ?」 「どっちとは?」 「入れる方? 入れられる方?」 「はい!?」 「せっかくだから、入れられる方を試してみる?」と、倫平の顔を覗き込む眞央。 その眞央のイジワルな顔に、倫平はドキっとしながらも、 「いえ、入れる方で!」と、即答した。 「冗談だよ」と、眞央は笑った。 「店長は・・・その・・・入れられる方で良いんですか?」と、倫平は恐る恐る聞く。 「オレに入れたいって思う奴が多くてな・・・」 「はあ・・・」 「もう、笑えよっ、冗談だよっ」 「はあ・・・」 「じゃあ、お前のお部屋に行きますか」と、眞央が先に車から降りた。 「店長、意外にノリノリだな・・・」と、倫平は呟いた。 車のドアを閉めた眞央は、「ハァー、無駄にテンション上げなきゃこんなのやってられねえよ・・・」と、呟いた。

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