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ショップの営業が始まるー。
が、とうに出社時間を過ぎているにも関わらず、倫平が姿を全く現さない。
ずっと緊張した面持ちでいた眞央もさすがにおかしいと怪しんだ。
《まさか、オレと顔を合わせるのがイヤで出社拒否・・・?
ありえるよな。
あいつはノンケだもん。
冷静になれば、抱いた男と素面で顔を合わせるってイヤだよな・・・》
内心焦り出した眞央は倫平のことを心配し始めた。
「あれ、京和は休み?
なんか連絡来た?」
と、事務の女子社員に平然を装って尋ねてみる。
「京和さんなら、今日から東京に出張ですよ」
「えっ?」
「東京本社での定期講座と中古自動車の東京売買オークションに参加するので、今日から一週間の日程で出張です」
「そっか・・・そう言えばそうだったな・・・」と、口にしながらも、眞央は全従業員の予定表が書き込まれたボードを素早く目で確認する。
割り当てたられた倫平の予定表の欄に東京出張と書き込まれている。
眞央は胸をなでおろした。
「京和さんになにか用ですか?
連絡とりますか?」
「いや、いい。
ありがとう」
とりあえず、眞央は倫平が出社拒否でないことに安堵した。
倫平と顔を合わせるのが一週間伸びたことは素直に喜ばしいと思ったが、それと同時になぜか倫平の顔が一週間も見れないことにどこか寂しさも感じていた。
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