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そして、日々は何事もなく経過し―。 東京出張を終えた倫平が「BSC」の星ノ空支店に出勤してくる日を迎えた。 あの熱い夜から、初めて倫平と顔を合わせる日がとうとうやってきた。 眞央はまた朝から落ち着きを欠いていた。 先週のように、またいつもより早い時間に出勤してきた眞央は、タバコで一服でもして気持ちを落ち着かせようと、喫煙コーナーに向かった。 眞央がガチャッとショップの裏口の扉を開けた。 「あ・・・っ」 「あ・・・」 タバコを吸う倫平が先客としている。 「・・・・・」 「・・・・・」 お互い気まずそうに見つめ合う。 「おはようございます」 「おはよう」 「・・・・・」 「・・・・・」 「随分早いな」 「店長こそ」 「・・・・・」 「・・・・・」 「・・・じゃあ、また後で来るかな」と、眞央は踵を返した。 「・・・店長っ」 「はい?!」 「今晩、また食事にでも行きませんか?」 「・・・・・」 「・・・・・」 見つめ合うふたり。 「・・・なんだよ、もしかして、オレにハマッちゃった?」と、眞央は必死に笑顔を作って冗談ぽく口にした。 「そうかもしれないって言ったら、責任とってくれますか?」 「・・・・・」

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