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食事を終えると眞央はご馳走してもらったお礼にと、食べ終わった食器の後片付けを買って出た。 倫平は眞央の洗い物の作業が終わるまで、ベランダに出て、タバコで一服することにした。 倫平はタバコを吸いながら、空いた片手で自身のスマホを操作する。 スマホで閲覧しているのは、自身が勤務するショップ『BSC』の星ノ空支店のホームページ。 「ナツナギ、マヒロ、か・・・」 『BSC』の星ノ空支店のホームページにアクセスした倫平はショップのスタッフ紹介ページを閲覧していた。 『BSC』の星ノ空支店のスタッフ紹介ページには店長を務める眞央のプロフィールが顔写真入りで一番上に紹介されてある。 倫平は眞央の名前が知りたくなって、スマホを使って、『BSC』の星ノ空支店のホームページのスタッフ紹介ページにアクセスをした。 普段、倫平は眞央のことを「店長」または「夏凪店長」としか呼ばないので、眞央のことは苗字しか知らない存在だった。 この時初めて夏凪店長の名が「眞央(マヒロ)」であることを知った。 知った瞬間、倫平は本人をすごく体現している素敵な名前だなと感心した。 いつも広い心を持って真心を忘れず接している、そんな店長にピッタリ過ぎる名前だと思うと、胸が温かくなった。 「終わったぞ~」と、声にしながら、眞央がベランダにやってきた。 その声と共に倫平はスマホをスウェットのパンツのポケットに仕舞った。 「お疲れ様です」 「いえいえ、こちらこそとてもおいしいお好み焼きをご馳走様でした」 「ねぇ、美味かったでしょ?」 「ああ」 「食べたくなったら、いつでも言ってください」 「ありがとう」と、眞央は微笑んだ。 「店長もタバコ吸いますか?」 「そうだな~」と、言いながら、手当たり次第にシャツやスラックスのポケットに手をやってタバコを探す眞央。 が、なかなかタバコの紙箱が見当たらない。 「多分、上着のポケットに入れたままなんじゃ? 良かったら、俺のどうぞ」と、倫平が自分のタバコを差し出した。 「俺と同じ銘柄でしょ?」 「ああ。申し訳ない」 眞央は倫平から一本タバコをもらうと倫平にライターで火をつけてもらった。 「今日は来てくれないかもって思ってました」と、倫平。 「なんで?」 「だって、この前の夜、条件を破ったでしょ、俺」 思い当たることがない眞央は頭をひねって少し考えてみたが、答えが見つけられない。 「・・・なんかしたか?」 「キス・・・しちゃったじゃないですか? その・・・あの・・・まさにあの瞬間に・・・」 「キス・・・? ああ・・・」 ふたりとも前の夜を思い出し、どこか照れてしまう。 「そう言えば・・・オレが最初の夜にキスはなしっていう条件出したな」と、眞央は思い出すように言った。 「・・・はい。 なので、怒ってたらどうしようってちょっと心配してました」 「あ、それで昼間にあんな似合わないメッセージを送ってきて、京和家自慢のおいしいお好み焼きまでごちそうしてくれたんだ?」 「違いますよっ」 「フーン、そういうことか・・・なるほど、なるほど・・・」と、意味ありげに何度も頷いて見せる眞央。 「なんですか?」 「イヤ・・・」 眞央は倫平が可愛く思えて仕方なかった。 「・・・そうです」 「フフフ」と、眞央は嬉しそうに笑みをこぼした。 「怒ってないでよね?」 「ないよ。 だって、オレも忘れてたもん。 キス禁止にしてたの」 「じゃあ、解禁ですよね」 「ああ。 解禁で良いよ」 その言葉を聞くと、倫平が眞央をじっと見つめてきた。 そして、ゆっくり顔を近づけると、眞央の唇に唇を重ねてきた。 「!」 眞央は少し驚いた。 ベランダでキスをしてくるなんて、誰かに見られるかもしれない。 目撃されるのが知り合いじゃなくても、男同士がベランダでキスしてる現場なんて世間ではまだまだ衝撃的だ。 面白おかしく広める奴らがこのマンションにいるかもしれないのに。 倫平はそんなことを全く気にしないのか?と。 倫平がしつこく何度も唇を重ねてくるので、眞央は驚きを隠しながら、とりあえずそのままを受け入れた。 倫平が眞央を切なく見つめる。 「このまま一緒にシャワー浴びに行きません?」 「・・・ああ」

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