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第15話
幸は、まだ半信半疑だった。
「澤くん、僕を元気づけようとして手品や作り話を……」
「これが現実だ、って! 教室に戻れば、解るよ!」
澤くんが、魔法使い。
田畑くんたちを、異世界送り。
目の回る心地で、幸は教室に戻った。
「机が……、減ってる……」
40あった机が、35に減っている。
そこへ、担任の教師がプリントを持ってやって来た。
「先生、田畑くんたちはどこに!?」
「田畑? ……そんな生徒は、このクラスにはいないぞ」
しっかりしろ、と額を小突かれ、幸は目を瞬かせた。
(消えた、というより、最初から居ないことになってる!)
これは本当に、田畑ら5人は異世界へ送られてしまったのか。
不敵に、幸に頷いて見せる勇真。
幸は、足元の床が崩れ落ちるような心地だった。
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