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穴埋願望【2】

「上野お前っ! ほとんどじゃなく性犯罪者だぜ、これは!?」 「ちょっと田端さん、そんな大声出してご近所さんに通報されたらどうするんですか。恥ずかしい思いするのは俺だけじゃないですよ? わかってます?」  言われなくたって重々わかってることを改めて諭され、田端は返す言葉に詰まった。  細かい経緯は端折る。  とにかく何だかよくわからない間に、気がついたら自分のネクタイと上野のネクタイで、左右それぞれの手首と足首をワンセットずつ纏めて括られていた。  右の手足は田端のブルー系、左の手足は上野のブラウン系、ちなみにどちらもストライプ。  は? 何これ? と問いかけるも何故かそのまま抱えられてベッドに運ばれ──上野に比べたら軽量だけど、田端だって小柄でもなければ特別細っこくもないってのに──仰向けに転がされてベルトを抜かれて尻を剥かれれば、さすがに下半身の危機を覚えるってものだ。 「穴を埋めたいだけのド変態かと思ってたら、こんな危ねぇ性癖まで持ってやがったのか!」 「嫌だな、穴を埋めたいだけのド変態ですよ」 「ド変態って認めたな……!?」 「そりゃだって、ずっと言われ続けてますし」  開き直った口調で平然と言い放ったド変態の後輩は、田端の下半身の着衣を無造作に膝まで押し遣ると、中身さえ知らなければいくらでも女が寄ってくる面構えをうっとり弛めて嘆息した。 「あぁ、最高にそそる穴がありますね……」 「ヤベェ! 後輩がクソ変態すぎて死ぬ!!」 「協力するって言いましたよね?」 「こんな協力とか聞いてねぇしっ」 「自分にできることならするって言いましたよね?」 「だから──」 「大丈夫、田端さんにできますよ。転がっててくれればいいだけです」  ガチでクソ変態の後輩はそう言って、どこからともなく取り出したコンドームのパウチを2つ、両手で摘んで掲げて微笑んでみせた。 「ポリウレタンとラテックス、どっちにします?」 「知らねぇし!」 「じゃあウレタンにしますね、とりあえずフィット感とか関係ないし」  もうコイツが何を言ってるんだかわからない。  が、ピリリと破ったパウチから中身を取り出し、伸ばしていくそこに指を突っ込むのを見て田端は青ざめた。 「いやマジで……待てって上野」 「ご協力に感謝します、田端さん。この理想的な穴を心ゆくまで埋めさせてくれたら、ちゃんと衝動を抑えられるように日頃から努力しますよ、俺」  それって俺の協力、多大すぎねぇか? そうツッコむより早く皮を被った指先が穴に触れ、思わず息を呑むと同時にグッと押し込まれて身体が揺れた。 「! 待っ──ちょっ」  異物が入ってくる初めての感覚に、知らず全身が硬直する。 「田端さん、ちょっと力抜いてください」 「おま……初心者に無理言うな」 「まぁ、この狭い穴を埋めてる感が、また堪らないってのはありますけど」  早くも若干興奮気味のクソ変態は、何だかんだ言いつつもゴムに塗布されたオイルの助けを借りて、案外すんなりと指を全部埋め込んでしまった。 「う──埋めたよな? 気が済んだか? 早く抜いてネクタイ外しやがれ。こんな何かのプレイっぽい格好なんかさせやがって、変態の上塗りじゃねぇか」 「勘違いしないで欲しいんですけど、これは作業効率を上げるためであって、こういうのが趣味ってわけじゃありませんからね? 俺。それに、まだ指1本しか埋めてないのに何言ってるんですか」 「あぁ? しか? しかって何だ? ほかに何埋めんだよ……?」 「そりゃあ」  声とともに指が抜かれ、上野がポリウレタンの皮膜に指をもう1本差し込む。 「どこまで埋められるか、段階的に試してみたいですもんね」 「ちょっと待った、ンなの聞いてねぇ!」 「だって事前説明はしてませんから」 「てかどこまでってどういう意味──」  言いかけたとき、また指を捩じ込まれて声が途切れる。さっきの倍の太さの異物が粘膜を分け入ってきて、田端は不自由な両手足をバタつかせた。 「ちょっと田端さん! そんな姿で暴れられたら、ほんとに妙なプレイでもしてる気分になっちゃいますよ。俺、そっちじゃないんですってば」 「そっちだろうがあっちだろうが、最初っから十分すぎる変態プレイだろ! いい加減にしろっ」 「じゃあ、巻きでいきます」 「あ?」  巻きって? と戸惑う間に引き抜かれた指が、さっさと3本になって戻ってくる。 「おまっ……まさか5本まで試す気じゃねぇだろうなぁ!?」 「まさか。ここから先は別のものを頼ります」  別のもの──? ますます混乱する田端の穴がいっぱいに満たされ、圧迫感に呻いたら指が退いて安堵したのも束の間、抜けると思ったものを再び突っ込まれて、そのままゆっくり抜き差しが始まった。 「あぁっ? 何やって……」 「次に進む前に少し慣らしておきますね」 「はぁ? 何言って……」 「田端さんの穴、思ったより何でも埋めさせてくれそうで楽しみですよ」

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