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第6話

「ヒート中のオメガ発見」  一人がそう言って口笛を吹く。 「ちょっとデカすぎねえ」  俺の体を見て、もう一人が言う。 「ならお前はそこで指くわえて見てろよ」  口笛を吹いた方がばさりと着ていたTシャツを脱いだ。 「冗談」  もう一人もシャツのボタンを外しながら近づいてくる。 「俺に触れたら叫ぶから」  睨みつけながらそう言うと、男の一人がにやりと笑う。 「ごめんねえ。ここのマンション、どこも防音しっかりしてんだわ」 「そうそう。だから安心して気持ち良くなっていいよ」  男にズボンの上から太ももを撫でられ、鳥肌がたつ。  今はまだ嫌悪感の方が勝っているが、あと少ししたら相手が誰であれ、よだれを垂らしながら服従するだろう。  それがオメガの本能だ。  俺は目を閉じ、せめて涙だけは零すまいと唇を噛んだ。  その時、薄暗い部屋に突然光が差し込んだ。 「悪い。その子、俺のつれなんだ」  聞き覚えのある声に目を開くと、さっき別れたはずの成澤さんだった。 「だから何よ。あんたも混ざりたいわけ?」  一人の男が自分の唇を舐めながら言う。  成澤さんは眉間の皺を深くすると、息を吐いた。 「俺はここの持ち主とは知り合いだ。あんたらが二度とこのパーティに呼ばれないようにもできるんだぜ」  成澤さんの言葉に男達が顔色を変える。  一人がTシャツを掴むと、急いで部屋から出ていく。 「おい。待てよ」  もう一人も慌てて後を追った。 「大丈夫か?」  成澤さんはベッドの上でペタリと座りこんでいる俺の肩を掴むとそう言った。  俺はこくりと頷いた。

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