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第7話
「なんでここに……」
「別れた時、君から微かに甘い匂いがしたんだ。嫌な予感がして無事に帰れているかと君の自宅に電話をしたら、まだ帰っていないってお母さんが言うから」
成澤さんが俺の腕を引っ張り立たせる。
「君のスマホとお母さんのスマホがGPSで繋がっていて良かった。とにかくここから出よう」
強く手を引かれ、足元が覚束ない俺は転びそうになる。
頭上から大きなため息が聞こえた。
「ちょっと我慢して」
そう言うと成澤さんは俺を横抱きにした。
「えっ、あの」
「下に車が止めてある」
成澤さんはそう言うと俺を抱いたまま、危なげない足取りで部屋から出た。
俺を助手席に降ろすと、成澤さんは運転席に乗りこむ。
成澤さんが身を乗り出し、俺のシートベルトを締めようとした。俺はその手を掴んだ。
「お願い。苦しいの。触って。俺、俺……」
恥なんて頭の片隅にもなかった。
ただ体が熱くて、頭が煮えてどうしようもなかった。こんなに激しいヒートは初めてだった。
「やめよう。絶対に後悔する。俺は抑制剤を打っているし、君の香りは控えめだけれど、やはり甘くて……ああ、ダメだ。後部座席にオメガ用の抑制剤が置いてある。とにかくそれを飲んで」
成澤さんがシートをずらし、後ろにあるバックを探る。
俺は成澤さんの無防備な下半身に手を伸ばした。
仕立ての良いスラックスからベルトを引き抜き、チャックを下げる。
「おいっ」
焦った成澤さんの声が聞こえたけれど、俺は止めなかった。
ブランドロゴの入った黒いトランクスを力任せにずり下げ、現れた屹立を目にした瞬間、俺はごくりと唾を飲んだ。
「おっきい」
腹につくほど反り返ったそれは赤黒く、もわっとした熱気を帯びていた。
俺が見つめると、先端がピクリと震え、とろりとした雫を零した。
俺は雫を親指で掬い、先端に塗り込める。
「ダメだ」
吐息のような成澤さんの声が聞こえた瞬間、俺の最後に残っていた理性が焼き切れた。
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