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第32話

「どんだけ俺を我慢させる気だよ」  そう言って笑うと、貴一さんは俺を抱きよせた。  もちろん俺が嫌な時は断ってくれていい。でも発情期の時だけっていうのは辛すぎる。  そう言われて俺は赤い顔で頷いた。   結果、貴一さんが深夜に帰宅する日以外、俺達は体を重ねていた。  発情期の時とは違い、我を忘れていないセックスはどこか恥ずかしく、俺はいつまで経っても慣れなかった。 「電気消して」  ベッドに座っている貴一さんの太ももに乗ったまま、俺はそう言った。 「駄目。瑞樹の全てをよく見たい」  俺がベッドサイドに置いてあるランプに手を伸ばそうとすると、貴一さんに絡めとられた。  俺のパジャマのボタンを貴一さんがゆっくり外していく。  俺達は揃いのシルクのパジャマを着ていて、俺がゴールド。貴一さんは紺色だった。 「綺麗だ」  ボタンを外し終わると、俺の剥きだしの上半身を貴一さんが温かい掌でゆっくりと撫ぜた。  貴一さんに触れられる度、ぷくりと腫れていく胸の尖りが恥ずかしく、俺は目を逸らした。  突然そこに吸い付かれ、俺はびくりと体を震わせる。 「あっ」  貴一さんが乳首の周りを舌で舐めまわし、吸いあげた。  気持ちよさに俺は背を反らせた。それは胸を突き出す格好で、貴一さんは俺の腰を片手で抱くと、乳首を強めに齧った。 「ああ。イッく。気持ちいぃ」  貴一さんが俺のズボンと下着を手早く脱がす。  俺の股間の小さな象徴は震え、ピンと勃ち上がっていた。  胸の刺激だけでそんなになった自分が恥ずかしくて、頬を染める。 「俺ばっかり嫌だ」  そう言うと貴一さんがくすりと笑う。 「そんなことないよ。俺だって、ほら」  貴一さんが俺の手を取り、自分の屹立に触れさせる。  そこはもう固く、熱を帯びていた。  俺はごくりと唾を飲むと、貴一さんの唇にチュッと口づけた。 「貴一さんも脱いで」  了解とばかりに、貴一さんが俺の唇を荒っぽく奪いながら、着ている物を全て脱ぎ去った。

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